(やっぱり、一人だと寝苦しそうだな……)
熱でうなされているのか、時折小さく身じろぎ、眉間にしわを寄せている。このまま一人にしていては、きっと安心して眠れないだろう。
「よし……」
意を決して、彼女が横になっている布団の縁にそっと腰を下ろした。そして、そのまま布団の中にするりと自分の体を滑り込ませる。
突然の行動に、彼女は薄っすらと目を開け、驚いたような顔で目の前にいる人の顔を見上げた。
「え…?は、ハン?」
熱のせいで朦朧としているのか、状況が理解できないといった戸惑いの表情を浮かべている。
「へへ…これでもう大丈夫」
優しい声で囁きながら、彼女にそっと体を寄せる。
決して抱きしめるわけではなく、ただ隣にいるだけだ。
「一人だと、心細いでしょ?」
そう言いながら、ゆっくりと優しい力加減で、彼女の背中をトントンと軽く叩く。まるで小さな子供を寝かしつけるかのような、規則正しく心地よいリズム。
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彼の温かい体温が背中から伝わってくる。最初は戸惑ったけれど、彼がただ背中をトントンと優しく叩いてくれているだけだとわかると、急速に強張っていた体が緩んでいくのを感じた。
(あったかい…)
彼の優しい鼓動が、自分の背中からじんわりと伝わってくる。その安心感と、心地よいリズムに包まれて、私の意識は徐々に遠のいていった。
「もう寝た?」
耳元で囁く彼の声に、すっかり夢の中にいる私は答えることができなかった…
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安心して眠りについた彼女の寝顔を見つめる。
汗ばんだ額も、微かに開いた唇も、全てが愛おしい。
「絶対嫁にしよう…」
新たな目標を胸に、彼女の小さな寝息を聞きながら静かに目を閉じた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!