第5話

4.
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2023/08/04 13:03 更新

不破 side 。






学生の頃は、男女ともに友達が多かった。

男とノリを合わせれば“ 面白い ”と認識されるし、女に優しくすれば“ カッコイイ ”と思われる。

だから人間関係に困ることは無かったし、いつも周りに友達が居た。


でも、“ 満たされたか ”と訊かれれば、……俺は
否定するだろう。


一緒に居て楽しい人も居るし、可愛い女の子だって居るけれど……どこか違和感がある。

どの人も、安心して側に入れる人では無かった。


そんなとき、出会った 。

あなた
『 不破 、教科書持ってる ? 』

不破 湊
『 …… あなた ! 』

隣のクラスの友達。

特別目立つような性格ではなかったが、落ち着いた声と性格に惹かれた。
不破 湊
『 なぁあなた 、3限俺とサボらん? 』
あなた
『 サボらん。お前も出ろよ。 』
あなた
『 あ、この前発売されたゲーム一緒にやろう。俺ん家来ていいからさ。』
不破 湊
『 えマジ?? やりますかぁ ! 』

一方的に寄ってこないこの距離感、笑うときの仕草とか、全部目で追って。

いつも一緒に居る奴らとは、比べ物にならないくらい大切な存在だった。







社会人になって。













どうして関係が崩れたのか、俺も分からない。













____ どうしたら良いかも、分からなかった。


























______________________

____________




不破 湊
………… 。


午前四時 。

気分はまさに最悪で、隣で爆睡しているあなたとは真逆…全く眠れなかった。

身体を起こさず、息を吐きながら手を額に置く。


ずっとろくな会話もしてこなかった恋人に泣かれて、質問された。

予想外のことで、その答えを出すこともできなかったけれど。

……正直、驚いた。
不破 湊
……… こっちの台詞なんやけど 。


「俺のこと好きか」とか、俺だってお前に訊きたい。

俺が何で仕事以外の場で好きでもないやつとヤるんだ。どうして分かんないんだよ。

お前だって、俺に気持ち伝えてこないくせに。
あなた
…… ん 、
不破 湊
………… 、

声を漏らし、寝返りをうったあなたの顔を眺める。


昔からこいつは、すました顔ばっかり。

俺がホストやるとか、枕営業とか…分かっていても否定しなかった。

嫉妬くらいしてくれよとか、最初は思った。



文句とか、俺にどうして欲しいとか……言ってくれたら、考えるのに。

俺はお前のこと「好き」だけど、お前は俺に「好き」って言ったことある?






____…俺が伝えることができたら、きっと円満解決
なんだろうな。









不破 湊
………… 無理やろ 、







できていたら、とっくに。




あなたの頭を撫でて、ベッドから立ち上がる。

顔を洗い、髪型を整え……毎日の“ 衣装 ”であるスーツを羽織り、荷物を手に取った。

ホストの仕事は不定期だ。

4時から5時の間に出勤のときもあれば、8時に出勤のときもある。

…休みを取らないと、あなたとゆっくり会話をする機会に恵まれないだろう。
不破 湊
…… 、

内ポケットから自身の名刺を取り出し、眠っているあなたの枕元に置いた。

最近ヒステリックな姫が多いから、1日でも休めばもっと酷くなるだろう。

だから、……合法的に直ぐ会えるのは、これだけ。


仕事中の俺の方が、もっとあなたに優しくできる。

…………なんて、結局自分に優しいだけやけど。
不破 湊
…… 行ってくるな 。

そう呟き、俺は家を出た。













































____ あなた side 。





目が腫れてる。



朝起きて一番に思ったのがそれで、「気分最悪…」とため息をついた。

まぁ、勝手に泣いた俺が悪いんだけど。


結局、湊は質問に答えてくれたのだろうか。

もはや寝る直前からの記憶がないわけだけど、これでもし「もう別れよう」とか言われてたらどうしよう。

……でも、突き放された気はしない。

あなた
………… ?

ベッドから立ち上がろうと手を動かすと、何かに当たりカサッと音がする。

明らかにシーツではない感触に違和感を感じ、そちらに目を向けた。


…………名刺、?

あなた
……“ 不破 湊 ”、

その紙に並べられた、恋人の名前とその店名。

これは明らかに湊の名刺……だけど、いつもスーツに仕舞っているそれを落とすなんて、あるのかな。

不思議に思い、その名刺をじっと見つめる。





そういえば、湊の店に行ったことはないな。

稀に見るのは客の見送り風景で、中の態度とか接客とか……何も知らない。


あなた
……………… 。



俺はその名刺を、鞄の中に仕舞った。

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