第4話

3.
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2024/07/07 11:00
空を見上げると暗い夜空に、星が瞬いていた。
ここに来て、初めての夜だ。
やはり、ここは暗いから夜空がとても綺麗に見える。空に見える星々は両手で掬えそうだとさえ思ってしまう。
阿部亮平
さーくま
佐久間大介
ぁ、阿部ちゃん?!
空をボーっと見上げていたら突然阿部ちゃんに声をかけられて思わず後ずさる。
阿部亮平
んふ、どーしたの?そんなに慌てて
佐久間大介
へ、ぁ、なんもない、!なんも!
自分の行動がおかしなことくらい分かってる。疑われたってしょうがないことをしていることも。
だけどやっぱり、あれから阿部ちゃんのことを変に意識してしまってまともに話せない。
阿部亮平
ねぇ、佐久間?
佐久間大介
な、なに、…?
やけに距離を詰められて、妙な緊張感が走る。
もしかして裏切り者って阿部ちゃんのことなのではないか。そして、今ここで俺は殺されてしまうのではないか。
そんな考えが頭の中に浮かんでは消えていく。
佐久間大介
阿部、ちゃん…?
阿部亮平
佐久間、俺ね、ずっと佐久間のこと好きだったんだ。
佐久間大介
へ、…!?
予想だにしなかった、というとまた別だが、今ここで言われるとは思っていなかった言葉を聞いて心臓が跳ね上がる。
阿部亮平
ここだとさ、自分がいつ死ぬかなんて分からないし、だから今のうちに告白しとこうって思って
阿部ちゃんの眼差しは至って本気で、俺のことを真っ直ぐと見つめる。
佐久間大介
…その、俺も、好きとかはまだ分からないけど、阿部ちゃんのことを考えるとすごくドキドキして、…これって好き、ってことなのかなぁ…
それに応えなければと思って進捗に言葉を選びながら伝える。
まだ、俺は自分が阿部ちゃんのことを好きなのかよくわからない。けど、阿部ちゃんから告白されて嬉しかったことは事実で、阿部ちゃんと恋人ラバーズになるということはとても心が惹かれる。
阿部亮平
佐久間が、もし俺との関係が違うって思ったら振ってもいいよ?でも、そう思ってくれてるなら俺は、佐久間と付き合いたいなって。
阿部ちゃんと付き合う。それがこの世界で何を表すのかなんて分かってる。
…けど…
佐久間大介
俺も。阿部ちゃんと恋人ラバーズになりたい。付き合いたい。
阿部亮平
!!ふふっ、やった。これからよろしくね?佐久間
この日、ここに一組のラバーズ恋人が誕生した。
ラバーズ…重複役職で、最後まで生存すると勝利陣営を乗っ取り勝利ができる。片方のラバーズが死ぬともう片方のラバーズも自害する。
あの後、阿部ちゃんはやる事があると言って俺とは別の方向に行った。
俺はそろそろ寝ようかなと思い宿舎に向かっている。
向井康二
さっくーん!!
佐久間大介
え、康二じゃん
すると大声で俺のことを呼びながらこちらに駆けてくる康二がいた。
向井康二
さっくん!阿部ちゃんと付き合えたんやね!!
佐久間大介
…え、?なんで知って、…
嬉しそうに飛び跳ねている康二だが俺らがラバーズになった付き合ったことは誰にも言っていない。というよりバレてはいけないのに…。
向井康二
そんなん俺が2人のキューピットだからに決まってるやろ!2人をくっつけたのはこの俺や!
キューピット…第3陣営。任意のプレイヤー2人をラバーズにすることができる。ラバーズが勝利すれば同時勝利。
佐久間大介
…あー!良かったぁ…。仲間か!なら早く言ってよ〜
向井康二
んふ、ごめんな?まぁ阿部ちゃんにも言っといてや!
佐久間大介
了解!
その後殺される可能性をなるべく減らそうと、康二と2人で行動することになった。
と言ってももう夜だし2人で宿舎に向かい、そのまま寝ることにした。
佐久間大介
…そーだ。康二、ちょっとスマホ貸して?
向井康二
んぇ?別にええけど…
俺がそういうとポケットからスマホを取り出して俺に渡してくれる康二。
佐久間大介
俺ねぇ、ブラックハットハッカーなんだ。せっかくなら能力使ってみたいし!
向井康二
そうなんや!ほな俺みんなに話しかけにいく!!
佐久間大介
康二なら楽勝だね!
きっと康二の距離感のことだしすぐに色々な人に感染させてくれるだろう。
俺はスマホを康二に返すと2人で並んで眠りについた。
朝、きっと海から流れてきたであろう、心地よい風をうけて、目を覚ます。既に何人かは起きているようでベッドが穴あきになっている。
俺は海でも見に行こうとベッドから起き上がり軽く支度を済ませて海辺に行く。
佐久間大介
え、照じゃん。こんな朝にここで筋トレ?てかこの器具どうしたの?
岩本照
…っしょ、…。…なんかあったからやってる。
早朝に浜辺でバーベルを持ち上げている照は一度それを置くと俺を見て少し拗ねたようにこちらをみる。
佐久間大介
砂浜やりづらくない?
岩本照
やりづらくない。…佐久間もやる?
佐久間大介
へ、…!?!?いやいや!そんな重そうなの照じゃないと無理!!俺は大丈夫!
照がそうやって俺に進めようとしてくるものだから俺は全力でお断りする。もう首がもげるかも、と思うほどだ。
佐久間大介
じゃ、じゃあ照頑張ってね!
俺はそうして照から離れると桟橋に向かった。桟橋では釣りができて、魚を手に入れることができる。なにもない無人島ではいい食糧調達手段だ。
ラウール
あ、佐久間くん、おはよ!
ちょうどキッチンには光り輝くラウールがいて魚を焼いていた。
佐久間大介
…ん?ラウ、スターなんだ!
スター…クルー役職。スターという名の通り光り輝いているため誰から見てもスターだとわかる。
ラウール
そうそう、昨日の会議だとなんか色々みんなに真面目に話し合いしてたからみんな気づかなかったのかなぁ?まぁ俺は白だから!
ふふん!と胸を張るラウール。するとちょうどそれに合わせるようにそばに置いてあったアラームが鳴った。
ラウール
んふふ、焼けた〜。佐久間くんも食べるー?
佐久間大介
え、マジー?いいの?
3匹あった魚のうちの1匹をラウールが俺に渡そうとした、その時だった。
          緊急会議
        死体が発見された

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