第2話

1.
367
2024/07/05 11:00
甘えたって嘘ついたってきっと許してしまうから、君は俺のために生きて欲しい。
7/4 23:59
俺はこの深夜にスマホ片手に時計の針を眺めていた。
後少しで俺の…そう、佐久間大介の誕生日なのだ。
Xへの自分の誕生日を祝うポストを準備して時計の針が12をまわるその時を待つ。
メンバーからの連絡は誰が1番早いかなぁ、なんて考えながらカチ、カチ、と動く秒針を見つめる。
後数十秒で31歳の俺とはお別れで、32歳の俺がやってくる。
ワクワクからなのか、単に深夜テンションなのかは分からないが、早く時計の針が12を超えて欲しくてたまらない。
あと10秒…













8













7












6














5












4














3














2





















1






















俺が「0」を数えて自分に誕生日を祝おうとした瞬間辺りが眩い光に包まれた。
…ま、…く…!!…さく、…
…誰だろう、誰か、俺の名前を呼んでいる…?
渡辺翔太
佐久間!!
佐久間大介
…おわっ、!?ぇ、翔太、?
遂に頭がイカれたのかなんなのかは知らないが、寝ていた俺にまたがる形で翔太が俺の顔を覗き込んでいた。
佐久間大介
…変態、
渡辺翔太
…?…ぁ、っは、ちげーしバカ!つーかお前男だろ!
とかなんとか言いながらも慌てて俺から離れる翔太。
…ふっふっふ、可愛いやつめ。
俺は体を起こして辺りを見回す。
佐久間大介
…てか、ここ、どこ…?
俺の目に映るのは決して見慣れた自分の部屋なんかじゃなくて、何一つ見たことがないものがない場所だった。
渡辺翔太
わかんねー。けどなんか急に全員ここにいてさ?多分無人島?かなんかだと思う。俺ら以外全然人なんていない。ファンタジーだよなぁ…。
翔太はそう言って呑気に笑っているが笑い事なわけがない。
佐久間大介
なんか俺より呑気なのムカつく…
渡辺翔太
俺っつーか、お前以外全員2、3日前に起きてるからだよ。慣れた。
佐久間大介
え…?
渡辺翔太
つーかそれ考えたらお前の方が呑気じゃね?こんな地べたでよく3日間も寝れるわー。
確かに、それ考えたら俺の方がある意味呑気だ。というよりどうして俺はここまで寝ていたんだ?そして俺と翔太以外のみんなはどこにいるんだ?
渡辺翔太
ほら、ミーティング行こうぜ?お前起きたの報告しねーとだし。
そもそも俺は自分の部屋にいたはずだ。自分の誕生日を祝おうとして…。
佐久間大介
え、俺自分の誕生日スキップしたの?!
渡辺翔太
…やっぱりお前呑気だな。
阿部亮平
…あ、翔太!…と佐久間?!起きたの?
佐久間大介
あ、阿部ちゃん!!良かった〜、翔太以外もいたんだ〜
渡辺翔太
お前、失礼だな…。ちゃんと説明しただろ…
翔太がいうその、ミーティングとやらに行くと阿部ちゃんがいた。
阿部亮平
あ、じゃあみんな召集しちゃう?そのためにここ来たんでしょ?
渡辺翔太
おう、だな。
2人が何を言っているのかは俺にはよく分からなかったが多分みんなと会えるのだろう。俺は心を踊らせる。
阿部ちゃんは机の上な置いてあった法螺貝を手に取ると深く息を吸い込んで思いっきり吹いた。
         緊急会議
      死体は発見されていない
佐久間大介
おわっ、!?え、何これ!!
渡辺翔太
っせぇなぁ…。
阿部ちゃんが法螺貝を吹くと同時に辺りが真っ暗になり、次に視界が開けた時には何故かみんなが周りにいた。
向井康二
さっくん!!目、覚めたんやな!!
佐久間大介
康二〜!!
宮舘涼太
ふふ、元気そうで良かったよ
深澤辰哉
ほんと、心配させてさぁ…
みんなが口々に俺への心配の言葉をかけてくれて胸が暖かくなる。
岩本照
これでちゃんと全員集合、だな
佐久間大介
だね〜!!
目黒蓮
佐久間くんが1番最後だけどね
佐久間大介
おっ、ちょ、蓮?!
こんな見ず知らずのところだけどこうやってみんなと楽しく話せるのが本当に楽しい。
佐久間大介
ぃ゛っ、!?
みんなで楽しく話していると唐突に頭に痛みが走った。頭を抑えてしゃがみ込む。
ラウール
佐久間くん?!
みんなが騒いでいるのが聞こえる。
次第に痛みも治ってきて、みんなに「大丈夫」と言いながら立ちあがろうとした。
けど、何故か自分の意思で体が動かない。まるで誰かに操られているように俺は起き上がる。
深澤辰哉
佐久間…?
佐久間大介¿
みなさんの中に裏切り者が2人います。彼らはインポスター。クルー陣営の皆さんはタスクを終わらせるか、インポスターを全員この島から通報してください。
阿部亮平
え…、佐久間、?
俺の意思とは全く関係ない言葉が俺の口から紡ぎ出される。
インポスター?裏切り者?そんな人がいるわけがない。この9人の誰かが俺らを裏切るわけがない。
佐久間大介¿
私はこの世界の創造者。言わばGMゲームマスターです。佐久間大介の体をお借りして話させてもらっています。
いやいやいや、ゲーマスさん?俺そんなこと許可した覚えないですよ?
佐久間大介¿
またしばしば体をお借りすることはあると思いますが、是非みなさん勝利のために頑張ってください。
そのゲームマスターとやらがそう告げるとふっと体が軽くなって思わずその場に倒れ込む。
向井康二
さっくん!!大丈夫?!
佐久間大介
…うん、大丈夫、…
まだ頭は少しクラクラするがなんとかだ。
宮舘涼太
にしても、…裏切り者って…
舘様がそんなことを言っているが、俺は分かってしまった。決して俺はインポスターなんかじゃないが、みんなの敵であることに変わりはないだろう。
          第3陣営

 自分のことだけ考えろ。他人のことは利用せよ。
        あなたのロールは

       ブラックハットハッカー


ここから、俺たちの命をかけた騙し合いは始まった。

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