第11話

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2025/09/20 06:44 更新




船は徐々に城に近づき、蔦で隠された城の入り口に辿り着いた。
船を降りると、また少し歩いた。
やがて大きな門の前に着き、白雪さんがノックをした。
ノックの音が大きく響き、少しした後に老いた男性が現れた。
白髪まじりの長い髪を後ろでとめていて、長いローブを着ている。
いかにも昔かたぎの老人といった感じだった。

ジョン・エスニール
白雪殿、ここまでの先導、感謝する。
…よくぞ来なさった。歓迎しよう、新入生達よ。
私はジョン・エスニール。副校長じゃ。今から君たちには寮決めの儀式をしてもらわねばならん。もたもたせずついてくることじゃ。
なるほど、副校長だったか。
道理で厳格そうな雰囲気の持ち主だ。

門を潜って中に入ると、驚くほど天井が高く、広い玄関口となっていた。上を見ると天井にはシャンデリアがかかり、辺りを明るく照らしていた。
視線を前に戻すと、副校長がさっさと歩いているのが見え、慌てて追いかけた。
いくつも階段を上り、少し疲れたところでまた大きな扉の前で止まった。
副校長は咳払いをし、周囲の視線を集め、話し始めた。
ジョン・エスニール
今から新入生歓迎の宴が催される。しかし、寮決めが先じゃ。準備が整い次第この扉が開く。開いたら、まっすぐ進め。そして、呼ばれた者から寮を決めるのだ。
言われるがままに、扉の前で待った。

5分経ったくらいだろうか、後ろから悲鳴が聞こえてきた。悲鳴の波はどんどん押し寄せ、ついに私のところまで伝わった。


…私もつい悲鳴を上げた。というより上げさせられた。
でもこればっかりは本当にどうしようもない。

…どうやって今の状況を表せば良いだろうか。
腹のあたりからにゅっと半透明な顔が現れ、そのまま体も現れそのまま飛んでいったとでも言えばいいんだろうか。言い換えれば、「何かが体をすり抜けた」状態である。

みんな被害に遭ったらしく、ちょっとした集団パニックに陥った。

その犯人は空中に浮き、けらけらと腹を抱えて笑っている。体は半透明で、小太りのおじさんといった感じの見た目だ。

ジョン・エスニール
ピーブズ!良い加減にしたまえ!彼らが新入生だからって何をしても良い訳ではないぞ!
副校長が怒ると、ピーブズと呼ばれた人(?)は、わざとらしく拗ねた顔をし、空中で三回転した後どこかに消えた。
ジョン・エスニール
すまないな、諸君。彼はゴーストの中でも特に厄介な部類でね…。善良なゴーストもいるんだがね。
副校長が話した途端、たちまち天井近くに多数のゴーストが現れた。さっきの厄介者とは違い、皆陽気な様子だった。彼らは一斉に、吸い込まれるように扉に向かって飛び、すり抜けていった。
ジョン・エスニール
…どうやら準備が整ったらしい。諸君、2列にならんで私に着いてきたまえ。
気を取り直し、とりあえず列を作ると隣に見知った顔が現れた。
ヤン・ナリ
あなたちゃん!お久しぶりなのだよ!
あなた
わ、ナリ様!久しぶり!
隣に来たのは、少し前にダイアゴン横丁で出会ったナリ様だった。
周りが静かになったので、小声で話しかけてきた。
ヤン・ナリ
実は…。知り合いがいなかったからちょっと怖かったのだよ。だから会えて良かったのだよ!
あなた
私もだよ。知り合いがいると安心するね。
ナリ様はくすくす笑いながら頷いた。





列の先頭にいた副校長が扉を叩いた途端、重そうな扉が、誰かに押された訳でもないのにゆっくり開いた。
扉の先はとてつもなく広い広間だった。
それこそ、この空間にいくつも家が入るんじゃないかと思えるほどだった。


真ん中には通路があり、それを挟むように長い机と椅子があり、ところ狭しと生徒が座っていた。
みんな雑談をしていたが、扉が開いた途端ぴたっと話を
止め、広間に静寂が訪れた。


空中には蝋燭が浮いて辺りを照らし、天井を見上げると満点の星空だった。
寒いと感じない辺り、この星空は本物ではないらしい。
ナリ様も見惚れているのか、口をぽかんと開けながら上を眺めていた。
副校長先生が何かを手に取ったのがちらっと見えたが、いかんせん前の人の背が高く、なかなか見えなかった。
横に身を乗り出すと、それは古ぼけた帽子だとわかった。
先生は帽子を小さな椅子に置き、手を叩いて一同を静かにさせた。
ジョン・エスニール
諸君、静寂に!ただいまより、寮決めの儀式を始める!
一気に場が静まり返る中、椅子に置かれた帽子がもぞもぞと動いたかと思うと、つばの部分が割れ、唐突に歌い出した。4つの寮を褒め称え、鼓舞する歌だった。

グリフィンドールは騎士道と勇気を。
ハッフルパフは忠実さと忍耐を。
レイブンクローは賢さと機知を。
スリザリンは野心と狡猾さを。

歌い終わると途端に割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
帽子は4つの机にお辞儀をした後、また動かなくなった。
副校長先生が、長い羊皮紙を待って前に出た。
ジョン・エスニール
呼ばれた者から前に出ること!
…雲母たまこ!
呼ばれた途端、背が小さく、長い髪をおさげにした女の子が前に出た。緊張しているのか、小刻みに震えている。
先生に言われるがまま椅子に座らされ、帽子を頭に乗せられている。
帽子は首をひねるような仕草を見せた後、高らかに「ハッフルパフ!」と叫んだ。
決まった途端、拍手が巻き起こった。
帽子が取られ、彼女は小走りにハッフルパフの机に向かった。
ジョン・エスニール
…ドッピオ・ドロップサイト!
次に呼ばれたのは、私の前にいた同い年とは思えない程大柄な男子だった。
彼は躊躇することなくまっすぐに椅子に向かい、座った。
帽子はしばらく悩んでいたが、やがて「スリザリン!」と叫んだ。
ジョン・エスニール
…伊波ライ!
次に呼ばれたのは、知り合いのライ君だった。
彼の頭に帽子が乗った途端、「レイブンクロー!」とすぐさま叫んだ。
これ、人によって時間違うのか。

次々に寮が決まっていく中、次はマナ君が呼ばれたのが見えた。またも、帽子は「レイブンクロー!」と即答した。

次第に、列に残っている生徒の数が減ってきた。
生徒が呼ばれるたびに、私の心臓が高鳴っていく。

きっともうすぐ呼ばれるはず。

私の緊張を察したのか、レイブンクローの席に座ったライ君がにっこり笑って、応援の意味
私は、しっかり彼に頷いてみせた。

…大丈夫。
どこに決まったって、きっとなんとかやっていけるから…

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