ついこの前、お彼岸で北斗の墓参りに行ってきた。
周りには同じく墓参りに
来たであろう人々がちらほら。
中には静かに手を合わせるご老人、
楽しげに話す家族連れ、
興味の無さそうな子供たちと様々で、
その一人一人、此処に並ぶ墓の一つ一つに物語があるのだと思うと、何だか感慨深かった。
それと同時に
俺も「田中樹」という一人の人間なのだけども、
この空間では周りの風景と、人と、
同化して大きな一つの物になった気がして、
何となく安心感を覚えた。
北斗だってきっと、幸せにやってるだろう。
いや、北斗のことだから、見えないだけで
ずっと俺の隣から離れられていないかも?
なんて考えながら墓を軽く掃除して、
持ってきた花を供えた。
来る途中の花屋で吟味して、
三つの花を束にしてもらった。
アザレア、アネモネ、アケビ。
花言葉は順番に「恋の喜び」、「恋の苦しみ」、「唯一の恋」。
北斗と恋をして、沢山の喜びを知って、
そして大きな苦しみを持った。
これは俺の人生で唯一の恋。
たぶん、これから先もずっと。
「ほら~もう帰るよー!」
「待ってママーこのお花なにー!」
遠くから親子の微笑ましい会話が聞こえて来る。
子供が指す花を見れば、それはイベリス。
まだ葉が多いけど、白い花が少しずつ開いていた。
いつの日か、北斗がイベリスの花を見て
『樹はイベリスみたい。』
と言った事があった。
何故かと聞いたら、
そのときは照れた様子で赤面して
『秘密っ!』
と何も教えてくれなかったけど
後から調べてイベリスの花言葉を知った。
「心を引きつける」「初恋の思い出」「甘い誘惑」
どれも俺にとっては心地良い響きで、
北斗は俺には合わないくらいロマンチストだけど
俺も満更でもなかった。
そういえば俺が花言葉に興味を持ち始めたのも、
北斗の病室に花をよく持って行ったのも
それが始まりだった。
白いイベリスの蕾が橙に染まって、
巣に帰る鳥の鳴き声がする。
あ~あ、俺もそろそろ帰らなきゃだ。
ずっと此処にいたいと思った。
ずっと北斗の傍にいたいと思った。
でも、それじゃあずっと進めないままだ。
ここ最近、よく思うこと。
人が一人居なくなったって、
地球は変わらずに回り続ける。
俺も進まなきゃいけない。北斗がいなくても。
だけどまだ此処で、北斗の隣で足踏みしていたい。
その時、右側に生温い風を感じた。
ただの勘違いかもしれないけど、俺には北斗が其処にいるように思えた。
大丈夫だと背中を押してくれているのだと思った。
少し頑張ってみようかと思った。
きっと北斗は、ずっと隣に居てくれるから。
その日は帰りに北斗が好きだったケーキ屋でショートケーキを2切れ買って帰った。
そりゃあ北斗は食べてくれないけど、
それで良かった。
寧ろ、俺にとってはそれが良かったかもしれないな。
6SixTONESめちゃ楽しみ!
発表された日に
「俳優Mって一体何宮何太郎なんだよ!」
ってコメントで小一時間つぼってたけど向井さんだった笑
あ、誰か交換宣伝してくださる方いらっしゃいませんか(話変わり過ぎて申し訳ない











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。