第42話

32.彼岸
353
2026/03/26 10:00 更新
ついこの前、お彼岸で北斗の墓参りに行ってきた。

周りには同じく墓参りに
来たであろう人々がちらほら。

中には静かに手を合わせるご老人、
楽しげに話す家族連れ、
興味の無さそうな子供たちと様々で、

その一人一人、此処に並ぶ墓の一つ一つに物語があるのだと思うと、何だか感慨深かった。

それと同時に
俺も「田中樹」という一人の人間なのだけども、

この空間では周りの風景と、人と、
同化して大きな一つの物になった気がして、
何となく安心感を覚えた。

北斗だってきっと、幸せにやってるだろう。

いや、北斗のことだから、見えないだけで
ずっと俺の隣から離れられていないかも?

なんて考えながら墓を軽く掃除して、
持ってきた花を供えた。

来る途中の花屋で吟味して、
三つの花を束にしてもらった。

アザレア、アネモネ、アケビ。

花言葉は順番に「恋の喜び」、「恋の苦しみ」、「唯一の恋」。

北斗と恋をして、沢山の喜びを知って、
そして大きな苦しみを持った。

これは俺の人生で唯一の恋。
たぶん、これから先もずっと。


「ほら~もう帰るよー!」

「待ってママーこのお花なにー!」

遠くから親子の微笑ましい会話が聞こえて来る。

子供が指す花を見れば、それはイベリス。
まだ葉が多いけど、白い花が少しずつ開いていた。

いつの日か、北斗がイベリスの花を見て
『樹はイベリスみたい。』
と言った事があった。

何故かと聞いたら、
そのときは照れた様子で赤面して
『秘密っ!』
と何も教えてくれなかったけど

後から調べてイベリスの花言葉を知った。

「心を引きつける」「初恋の思い出」「甘い誘惑」

どれも俺にとっては心地良い響きで、
北斗は俺には合わないくらいロマンチストだけど
俺も満更でもなかった。

そういえば俺が花言葉に興味を持ち始めたのも、
北斗の病室に花をよく持って行ったのも
それが始まりだった。

白いイベリスの蕾が橙に染まって、
巣に帰る鳥の鳴き声がする。
あ~あ、俺もそろそろ帰らなきゃだ。

ずっと此処にいたいと思った。
ずっと北斗の傍にいたいと思った。

でも、それじゃあずっと進めないままだ。
ここ最近、よく思うこと。

人が一人居なくなったって、
地球は変わらずに回り続ける。

俺も進まなきゃいけない。北斗がいなくても。
だけどまだ此処で、北斗の隣で足踏みしていたい。


その時、右側に生温い風を感じた。
ただの勘違いかもしれないけど、俺には北斗が其処にいるように思えた。

大丈夫だと背中を押してくれているのだと思った。
少し頑張ってみようかと思った。
きっと北斗は、ずっと隣に居てくれるから。

その日は帰りに北斗が好きだったケーキ屋でショートケーキを2切れ買って帰った。

そりゃあ北斗は食べてくれないけど、
それで良かった。
寧ろ、俺にとってはそれが良かったかもしれないな。
6SixTONESめちゃ楽しみ!
発表された日に
「俳優Mって一体何宮何太郎なんだよ!」
ってコメントで小一時間つぼってたけど向井さんだった笑

あ、誰か交換宣伝してくださる方いらっしゃいませんか(話変わり過ぎて申し訳ない

プリ小説オーディオドラマ