第64話

47話
258
2025/08/30 02:38 更新
「お前は本当に素晴らしい」




「特別だ」











「姉さん…」












「あなたさん」

















「あなたちゃん」


















「あなた」


















「こっちだよ」


















誰かが手を伸ばしてる




















私の名前を呼んでる






































(なまえ)
あなた
人の気配がする


目を開けても暗い




何も見えない
犬飼憂人
犬飼憂人
あなたさん、聞こえますか?
(なまえ)
あなた
犬飼…?
犬飼憂人
犬飼憂人
御子柴賢太
御子柴賢太
…お前の治療が決まったってよ
(なまえ)
あなた
…治療?




まさかメタルを除去するの?




















































そんなことをしたら…
(なまえ)
あなた
…だめ…やめて、お願い
犬飼憂人
犬飼憂人
土佐凌牙
土佐凌牙
ち、治療しねぇ方がだめだろ
御子柴賢太
御子柴賢太
そのままだと死ぬんじゃねぇのかよ
犬飼憂人
犬飼憂人
犬飼が心配していたことが当たってしまった…そう思ったが、理由は想像の斜め上だった
(なまえ)
あなた
帰ってきた…のが、私じゃ…なかったら…
甲斐田紫音
甲斐田紫音
御子柴賢太
御子柴賢太
土佐凌牙
土佐凌牙
犬飼憂人
犬飼憂人
そ、それは…
あなたが懸念していたこと


それは、治療を経てみんなのもとへ帰ってくるのは私ではなくワタシかもしれないということ

ワタシは自分以外にもたくさんいた

治療が成功しなかったら?手遅れだったら?

ここに返されるのが自分じゃなかったら?



想像しただけで苦しくなる


私じゃないワタシがみんなのもとに帰るなんて死んでもごめんだ



そんなことが起きるくらいなら、私は治療なんて受けない



それに私が無事に戻れる保証は?

私をこんな目に遭わせた、私を作った人間のところで治療なんて、安全と言えるだろうか
御子柴賢太
御子柴賢太
んなこと言ってる場合かよ…
生きるか死ぬかって時に、自ら死を選ぶようなクソだせぇ真似すんじゃねぇよ!
(なまえ)
あなた
甲斐田紫音
甲斐田紫音
それに、もしあなたちゃんが帰ってきたら、本物かどうか確かめてあげるよ
犬飼憂人
犬飼憂人
これがあなたさんを救う唯一の道なら、私は手段を厭わない
貴方を諦めるつもりはハナからありません
(なまえ)
あなた
土佐凌牙
土佐凌牙
お、お前なら…大丈夫だ
温かくて大きな手が頭を軽く撫でる
私はいつからこの温もりを求めるようになってしまったのか
(なまえ)
あなた
なら…これだけは……守って
もし私が帰ってきたら…「本物なのか」って聞いて…
きっと、何も答えないから…
それはとても辛くて、悲しくて、でも覚悟があった
本物という言葉は、あなたにとって呪いに近いだろう

あなたが本物ならばどれだけ良かったか
どれだけ心が救われたか
犬飼憂人
犬飼憂人
…分かりました
御子柴賢太
御子柴賢太
帰ってきたのがお前じゃなかったら殺してやるから、安心して治療受けてこい
(なまえ)
あなた
…うん













治療は3日後行われることになった

心のどこかで不安が残っていて、心のどこかで諦めてて、それでも諦めきれなくて

沢山残してきた足跡をみんなが見つけてくれたから

私はまた生きるという選択をする





この決断にきっと何の後悔もしない




しばらく会えなくなるのは寂しくなるね
犬飼憂人
犬飼憂人
あなたさん、気をつけて
私たち4人はあなたの帰りを待っていますから
(なまえ)
あなた
…またね
犬飼憂人
犬飼憂人
はい、また
治療のため、私は施設へ出発した

護送車の揺れが背中に直に伝わる
それでも、やはり体の感覚は鈍くなっているのがわかった

体を蝕むメタルは相変わらず醜くて許せない

でもきっと戻るから

大丈夫な気がするから

みんながいるから
読んで頂きありがとうございます!

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