iemon side
そう言って夜知愛さんは苦笑いする。
夜知愛さんはそれだけ残して、俺の家に戻った。
また綺麗な花を見つめる。
なんで花と人は違うのか。
花は咲く場所を選べない。
だけど、どの花でも基本綺麗だ。
毒を持ってる方が、より美しい物になる。
それに対して人間はどうだ?
生まれる場所は選べぬが、そこからの道は選べる。
花は咲くまでただ待つだけだが、人は待ってる間に学んで道を選ぶ。
だけど、誤った道を進めば到底美しいものにはなれない。
いや、騙す側なら外面は美しい者だ。
内面はどす黒い感情ばかり。
そして毒を持っている者こそ、最後に痛い目を見る運命。
周りに毒を振り撒くから、そういう運命にある。
人は、一度毒を持つだけで、簡単に落ちぶれるのだ。
花は、生まれつき毒を持つが、注意すればただ美しい。
落ちぶれず、自分らしく居られる。
……羨ましいものだ。
俺は毒を持つ人間なんだと思う。
他人が仲良くしようと話してくれるのに、俺は冷たく返す。
本当は友達や親に会うべきなのに、会いに行かない。
この世界に、好奇心で入り込んだのも間違いだった。
人に会わず、孤独な生活を続けるのは辛い。
今は響さんも夜知愛さんも居る。
だのに孤独だと感じる俺は、何を思っているのだろう。
ただ単に、人と居たい訳じゃないのか?
人と居る方が辛いのか?
俺にとって、友達と言える存在が欲しいのか?
俺の、求めてるものは……?
1000文字ノルマなんて知るか
(今回は800文字)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。