第3話

第伍話︰ゴシップ嗜好者
54
2021/03/30 01:23
_____院長室前。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
_____ふぎゃ………っ!?
扉を開けた瞬間、間の抜けた声と共に、腰を抜かした戸波が姿を現した。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
戸波、お前………………!
戸波の"しまった!"と言わんばかりの表情を見て、察した。

聞き耳を立てていたのだ。

_____しかも、下手をすれば"国家機密の情報"かも知れない内容を。

流石の六辻も頭に血が上るのを感じる。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
わ、悪かったって。ほら、お前みたいな優秀な医師がヤクザ…………じゃなかった、院長に呼び出されるなんて、気になっちゃうじゃんか。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
…………………………………。
_____この男、開き直るのが滅法早いらしい。

その上、あろう事か院長を"ヤクザ"呼ばわり。

…………………………否、その点で言えば、六辻も咎められないが。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
巫山戯るのも大概にしなさい…………………それに、そこの貴女、院内で何をしているんです_____
六辻が後方に目をやる。

そこには、壁にもたれて、灰皿を片手に煙草を吹かしている女がいた。

スーツが良く似合う、切れ長の目の女だった。

喫煙所でも無く、院内で煙草を吸っているのは頂けないが……………………。
_芥@あくた__一桜@いお_
あくた一桜いお
ん?嗚呼、私はそこのー……………那由多の同僚。
_____芥一桜。

そう、女は名乗った。

十六沢の表情が変わらない事からして、同僚・・というのは、事実らしい。

つまり、彼女も等しく内部調査員なのだろう。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
はい?_____それは……………失礼致しました。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
え……………じゃあ、怒られんのは俺だけって事!?六辻、何とかしてくれよー!
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
常習犯は黙っていなさい。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
ちぇー……………って事は、そこの美人さんが那由多ちゃん!?
口を尖らせていた戸波の表情が一変した。
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
えぇ、十六沢那由多と申します。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
十六沢さん………………!貴女、勝手に名乗らないで下さい!御自身の立場を分かっているんですか?
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
えぇ、ですが_____
十六沢はまた、にこりと笑った。
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
そこが"彼の武器"でしょう?
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
は_____
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
何々ー?那由多ちゃん・・・・・・、もしかして俺の情報収集能力に惚れちゃった?
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
えぇ、素敵な特技ですよー!
悪びれもせず、十六沢に懐く戸波。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
………………………………………。
_芥@あくた__一桜@いお_
あくた一桜いお
何だ、恋慕か?
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
有り得ません。御戯れを。
六辻は心外だと、かぶりを振った。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
ねーねー、六辻ィ…………あ、一冴君!俺も調査、参加して良ーい?
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
……………………先ず、その気持ちの悪い話し方を如何にかしなさい。それと、今から手術オペ室で君の記憶改変をしますので、そのつもりで。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
うっわ、怖!!
戸波がオーバー過ぎるリアクションを取る。
_芥@あくた__一桜@いお_
あくた一桜いお
勝手に使っちまって良いのか?
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
言葉のあや、ですよ。
六辻が珍しく、口角を上げる。

同時に、戸波が"うげぇ"と苦虫を噛み潰した様な声を出した。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
ねぇ、那由多ちゃん。此奴に変な事されたら、直ぐに言ってね!絶対だからね!?
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
…………………如何しましたか、白南風君?
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
イエ、ナンデモ?
戸波が調子良く、そっぽを向いて口笛を吹いた。

六辻は十六沢に向き直る。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
行きましょうか、十六沢さん。院長には話を通しておきます。処罰は………………"彼"が受けるでしょう。
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
はい!了解致しました。
十六沢が微笑む。
_芥@あくた__一桜@いお_
あくた一桜いお
お前、呼ばれてんぞ?
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
え、何?
_____つくづく、"調子の良い男"だ。
_芥@あくた__一桜@いお_
あくた一桜いお
那由多、昼は私と食おうぜ。そこのインテリ君も一緒に。
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
はい、分かりました。
_白南風@しろばえ__戸波@となみ_
白南風しろばえ戸波となみ
えー、良いなァ。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
………………………………………。
_____何故、僕も。

六辻は心の底からそう思ったが、口にするのも面倒なので、そっと言葉を飲み込んだ。
_六辻@むつじ__一冴@かずさ_
六辻むつじ一冴かずさ
それでは、行きましょうか。十六沢さん。
_十六沢@いさざわ__那由多@なゆた_
十六沢いさざわ那由多なゆた
あ、はーい。
再び煙草を吹かし始める芥と、鬱陶しい程名残惜しそうな戸波に見送られながら、六辻と十六沢は院の"愛情中枢バグ者の診療録カルテの保管室"へと向かった。

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