第3話

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2026/01/12 12:19 更新
夜の店は、噂が回るのが早い。

グラスが空く速度と一緒に、情報も流れていく。
あなたの名字あなたは、いつも通りカウンターの内側に立っていた。
モブ
あなた、今日さ
常連の男が、顎で奥の席を示す。
モブ
さっきからいる、あの人。かっこいいと思わない?狙えば?
あなた
いやいや
あなたはは笑って、氷を足す。
あなた
私、こう見えてプライベート充実してるから
モブ
知りたくなかったああああ
即座に悲鳴が上がり、周囲が笑った。

その瞬間だった。
店長
あなた!!嘘つくなと日頃から言っているだろう!
カウンターの奥から、店長の声が飛ぶ。
あなた
日頃から嘘ついてるみたいに言わないで!?
あなたは振り返り、即座に言い返した。
店内がまた一段、賑やかになる。


――そのやり取りを、例の男は黙って見ていた。

サングラスを外した。
それだけで、空気が少し変わった。
モブ
誰かが、小さく声を漏らす。
モブ
……あれ?
別の客が、スマホを伏せる。
モブ
ねえ、あの人さ
ひそひそとした声が、波紋みたいに広がっていく。
あなた は気づいていた。
気づいていて、知らないふりをした。
あなた
はい、次なに飲みます?
何事もなかったように、男の前に立つ。
あなた
(バレたくないんでしょうね、たぶんだけど)
ホークス(鷹見啓吾)
ホークス(鷹見啓吾)
……おすすめで
あなた
了解
それだけ。

名前も、肩書きも、出てこない。
でも、周りの視線はもう誤魔化せなかった。
モブ
あなた、あの人
あなた
ん?
モブ
ホークスじゃない?
一瞬だけ、空気が止まる。

あなたは手を止めずに、言った。
あなた
さあ?似てる人、多くない?なにせ、トレンドボーイだからね
モブ
ボーイって、歳変わらんでしょ
あなた
年齢は秘密でーす
逃がす気はないけど、確かめる気もない。
距離感の天才。それが、彼女だった。

グラスを差し出すと、男が小さく笑う。
ホークス(鷹見啓吾)
ホークス(鷹見啓吾)
バレました?
あなた
さあ。お客さん次第じゃない?
ホークス(鷹見啓吾)
ホークス(鷹見啓吾)
じゃあ、今日は“ただの客”で
あなた
それなら、歓迎
あなた はそう言って、次の注文に向かった。

カウンターのこちら側と、向こう側。
ヒーローだと分かっても、距離は変えない。

ホークスはその背中を見ながら思う。
ホークス(鷹見啓吾)
ホークス(鷹見啓吾)
(……やっぱり、面白い人だ)
その感情に、まだ名前はつけなかった。

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