第20話

18.ずるい人
49
2026/04/03 03:14 更新
翌日。主はハウレスと共にエスポワールの街に買い出しに来ていた。
(なまえ)
あなた
あしたはきっといーいひになる♪いーひになる♪いーひになるのさ♪今日よりずっといーひになる♪いーひになるでしょ♪おー♪
主はスキップしながら『明日はきっといい日になる/高橋優』を歌う。その後ろで、ハウレスは楽しそうに微笑む。
(なまえ)
あなた
あ!なんか可愛い雑貨屋さん♪
ハウレス
ちょっ、主様!?お待ちください!
主は気になる店を見つけ、駆け出す。ハウレスは急いでそれを追いかける。
(なまえ)
あなた
こんにちは!
店員
あら、いらっしゃい。何かお探し?
(なまえ)
あなた
これかわいいですね!お姉さんが作ったんですか?
店員
そうなのよ。あんた、見る目があるわね。
(なまえ)
あなた
ふふん、よく言われます。これとかこれとかすっごいかわいい。
店員
あんたに似合いそうね。まけてあげるから、これ買ってきな。
(なまえ)
あなた
マジですか!?ありがとうございます♪
ハウレス
主様!!俺が払いますから!
自然に自分の財布を出そうとする主。しかし、主の財布には日本円しか入っていないのである。まさか、この世界で日本円が使えるわけがない。
(なまえ)
あなた
え?お金あるよ?
ハウレス
いけません。出します。……その、お、おいくらですか…?
店員
あら、あんたこんなイケメン連れてたの?彼氏?
(なまえ)
あなた
彼氏?そんなふうに見え……そういえばこの男バチくそイケメンだったわ………
店員
えー付き合ってないの?勿体ないわよ?
(なまえ)
あなた
勿体ないですよね。分かります。でも多分こいつ彼女ぐらいいますよ。ねぇ?
ハウレス
い、いませんよ!!俺が何時そんなことを言いましたか!?
(なまえ)
あなた
え!?いないの!?ガチ!?
ハウレス
いません。俺には主様しかいらっしゃいませんから。
(なまえ)
あなた
プロポーズ……?きみーはずるいずるいずるいひとーだもう〜♪
☆『プロポーズ/内緒のピアス』
店員
うわ、びっくりした。急に歌わないでちょうだい。で、そこの男は彼氏じゃなくて執事なのね。分かったわ。あんたは良いとこのお嬢様なのね。
(なまえ)
あなた
お嬢様?庶民だが?
店員
嘘よ。その辺の庶民の格好じゃないもの。
(なまえ)
あなた
あー。そうなんだ。
店員
…で、何だったかしら、執事さん。
ハウレス
あ、え、えっと…おいくらでしょうか……?
(なまえ)
あなた
顔赤いね?熱?
店員
50ゼニーよ。
ハウレス
はい…
(なまえ)
あなた
ゼニー?銭ってこと?Moneyってこと?50円?安。
店員
これ、お嬢様にあげなさい。じゃ、毎度あり〜
ハウレス
ありがとうございます……主様。こちらです。
(なまえ)
あなた
ありがとう!かわいい!
ハウレス
ふぅ……
ハウレスは店から離れ、ほうっと息をついた。
(なまえ)
あなた
どうしたの?顔赤いけど、熱でもあるの?
ハウレス
いっ、いえ!何でもございません!
(なまえ)
あなた
…?あの人に惚れちゃった…???
ハウレス
そ、そんな!!!滅相もございません!!先程も申し上げましたが、俺には主様にしかいませんよ。
(なまえ)
あなた
じゃあなんで?女慣れしてないの?その顔で?ま?
ハウレス
……………
ハウレスは明らかに図星といった表情で視線を泳がす。
ハウレス
……その……はい……
(なまえ)
あなた
……ギャップ萌え〜
ハウレス
…………………
(なまえ)
あなた
あれ?私も女だよ?
ハウレス
主様は…その…特別ですから…
(なまえ)
あなた
ん?何?結婚か?それは結婚だな?
ハウレス
ち、ちが…!いや、そういう意味ではなく……うぅ…
ハウレスは主のストレートな攻撃に耐えられずに顔を真っ赤にして、手で顔を覆ってしまった。
(なまえ)
あなた
あらあら、かわいいね。ごめんごめん、冗談冗談。それで、買い出し?だっけ?飯?
ハウレス
は、はい……
主は自然にハウレスの手を取り、店に向かって歩き出した。
ハウレス
…!あ、あの、主様…これは…?
(なまえ)
あなた
いや、ハウレスがボーッとしてるから。そのままじゃ人にぶつかっちゃうよ。
ハウレス
あ、はい…
(なまえ)
あなた
えーっと、メモメモ……お肉とー、お魚とー、お野菜とー、…あ!良さげなお肉屋さん!
ハウレス
え!?主様ー!?
主はハウレスの手を握っていた手を離して、また駆け出した。
ハウレス
はぁ、はぁ……主様……お待ちください……
その後も、主はハウレスの制止も聞かず、あちらこちらへ買い物に行った。主は行く先々で容姿を褒められ歌を褒められ、色々おまけしてもらっていた。そうして、無事に安く、求めていたものを買い終えるのだった。
(なまえ)
あなた
お疲れ様ハウレス。ごめんね、私の財布になってもらっちゃって。
ハウレス
い、いえ……ですが、心配になるので、急に走らないでくださると助かります。
(なまえ)
あなた
ごめんごめん。
ハウレス
えっと…あとは壁紙だけですね。
(なまえ)
あなた
壁紙?どこの?
ハウレス
食堂のです。こんな感じの壁紙が欲しいとボスキが…
ハウレスは主に、デザインの書かれた紙を見せた。
(なまえ)
あなた
これ、ボスキが描いたの?うっま。あいつ、絵描けるんだ。…あれ?ボスキって利き手どっち?
ハウレス
右ですね。
(なまえ)
あなた
義手で書いてんの!?嘘でしょ!?
ハウレス
……まあ、もう、何年もそうですからね…
(なまえ)
あなた
……?どうしてハウレスがそんな悲しそうなの?
ハウレス
……いえ。何でもございません。
(なまえ)
あなた
そっか…?じゃあマシュマロの角に頭ぶつけて忘れるね。
ハウレス
マシュマロ……???
主は首を傾げつつ、持ち前の適応力で通常運転に戻る。むしろ、ハウレスの方が首を傾げることとなった。
そのまま2人は壁紙を扱うお店へ入った。
(なまえ)
あなた
んー、ボスキが求めてる壁紙はなさそうだね。どうする?なかったよーって報告する?それとも、代わりの探す?
ハウレス
探しましょうか。そうですね…これはどうですか?
ハウレスは、バナナ柄の壁紙を指さした。
(なまえ)
あなた
え?食堂だよね?
ハウレス
はい。食欲がそそりそうですよね!
(なまえ)
あなた
そそらねぇよ。猿じゃねぇんだから。こんな柄、子供部屋か猿部屋用だろ。私ゃ猿か?猿だと思われてんのか???
ハウレス
………そ、そうですか…すみません……
(なまえ)
あなた
うん。ねぇ、屋敷って私のものってことになってるんだよね?
ハウレス
はい。主様のものです。
(なまえ)
あなた
じゃあ壁紙だって私に決める権限あるよね。私が決めるね。うーん…これ!
ハウレス
おお…!素敵ですね!さすがです、主様!
主が選んだ壁紙はシックな雰囲気で、屋敷の雰囲気にとても合っていた。しかしハウレスは嬉しそうでありつつも、複雑そうな顔をしていた。
(なまえ)
あなた
まさか、バナナの方がいいとか思ってないか?
ハウレス
まさか。思ってませんよ。
(なまえ)
あなた
うんうん、偉いねハウレス。こっちの方がいいよね。
主がハウレスをあやすように言う。
ハウレス
……すみません……
(なまえ)
あなた
素直でよろしい。
ハウレス
とにかく、主様ありがとうございました。おかげでボスキに怒られずに済みそうです。次は主様の行きたいところに行きましょうか。
(なまえ)
あなた
うーん、じゃあおしゃなカフェ行きたい!カフェインカフェイン♪
ハウレス
ふふっ、では俺のおすすめのカフェに行きましょうか……いたっ
(なまえ)
あなた
ん?どうした?
ハウレス
いえ…誰かに石を投げられたみたいです。大丈夫ですよ、よくあること___
(なまえ)
あなた
石を投げられた?よくあること?いじめられてるの?
主は立ち止まり、ハウレスを問い詰めた。
ハウレス
…俺たち悪魔執事は、街の人たちからよく思われていないんです。
(なまえ)
あなた
天使を倒して世界を守ってるのに?
ハウレス
はい。…全ての天使を倒せる訳ではありませんから……ですが、主様がいらしてからは特に天使を倒せる数も増えましたし___
また、ハウレスの頬を石がかすめる。主は投げた手の主(ぬし)を見つけた。
(なまえ)
あなた
ちょっと。あなた、何してるの。人に石を投げちゃいけないって、教わらなかったの?
石を投げたのは、幼い子供だった。
子供たち
悪魔退治だよ!お父さんに、悪魔執事は悪いやつだって教わったんだ!
(なまえ)
あなた
……子供か…
ハウレス
主様…もう…
子供たちはまたハウレスに石を投げようとする。その石を主は懐から取り出した護身用のナイフで切り裂く。
ハウレス
主様!?
子供たち
うわ!?お姉さんも悪魔!?
(なまえ)
あなた
違う。私はただの人間。ちょっと手先が器用なだけ。
子供たち
じゃあなんで悪魔を守るんだよ!
(なまえ)
あなた
ねぇ、お兄さんもただの人間だよ。お兄さん、今あなたたちに何もしなかったでしょう?本物の悪魔なら、あなたたちを殺してる。
子供たち
…………お姉さんがいるからだろ。
(なまえ)
あなた
お姉さんのことは、ちゃんと人間ってわかってるんだ。
子供たち
お姉さんの悪魔執事なんて教えてもらってないもん。違うよ。
(なまえ)
あなた
そう。じゃあ、お姉さんの言葉を信じて。ハウレス、手を貸して。
ハウレス
は、はい…
主はハウレスの手と、子供の手を取る。
(なまえ)
あなた
触ってごらん。お兄さんは痛いことしないよ。私が約束する。
子供たち
…………
子供はハウレスの手に触れる。
子供たち
……………
(なまえ)
あなた
ほら、私たちと同じでしょう?温かい、人間の手でしょう。彼も、私たちと同じなの。嫌なことされたり、痛いことされたら辛い思いをするの。
子供たち
…………
(なまえ)
あなた
分かったら、ちゃんとごめんなさいして。痛いことしてごめんね、よしよしってして。
子供たち
……痛いことして、ごめんなさい。よ、よしよし…
ハウレス
…あぁ。
ハウレスは柔らかく微笑んだ。
(なまえ)
あなた
ふふ、えらいえらい。
主は子供の頭を撫でる。
子供たち
お姉さんも、ごめんなさい。石を投げちゃって。
(なまえ)
あなた
いいんだよ。分かってくれたら。はい、これあげる。
主は子供にお菓子を渡した。
子供たち
え…!いいの!?
(なまえ)
あなた
うん。お菓子屋さんのおじさんにもらったの。良かったら食べて。ごめんなさいできたご褒美。
子供たち
ありがとう!
(なまえ)
あなた
うん。お友達にも、悪魔執事のお兄さんは優しくて、悪魔執事の主のお姉さんは可愛いって教えてあげるんだよ。
子供たち
分かった!ありがとう、優しいお姉さん!
(なまえ)
あなた
ううん、可愛いお姉ちゃん。
子供たち
お姉ちゃん!
(なまえ)
あなた
……可愛い…
子供たち
バイバイ!
(なまえ)
あなた
…………
ハウレス
フフッ……ありがとうございました、主様。
(なまえ)
あなた
あ、石ぶつかったとこ。血が出てる。絆創膏貼ってあげる。
ハウレス
ありがとうございます…本当に、主様はお優しい方ですね…貴方に剣を向けた昔の自分を恨みたくなります。
(なまえ)
あなた
あれは仕方ないって言ってるでしょ。ほら、しみじみしてないで、早くカフェ行こ!コーヒー飲みたい!
ハウレス
はい。_俺の大切な、主様。
ハウレスは主の手を引いて、軽い足取りでカフェへ向かった。

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