第9話

9バッドエンド後日談
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2024/10/23 10:03 更新
今日は、莉犬くんの命日
本当はこんな日、迎えたくないんだけどね…



"莉犬"と掘られたまだ新しいお墓の前に立つ
やはり、後悔の感情しか浮かばない
でも、ちゃんと来てあげないとね
これ以上莉犬くんに寂しい思いをさせたくないし
ジェル
重た…るぅちゃんも少しは持ってや〜
るぅと
お水取ってきました〜
ジェル
え無視!?
皆でお墓に水をかけて清める
花瓶の中の水も取り替えて、綺麗にする
さとちゃんが恐る恐るマッチを擦って火を起こし、
線香に付けて煙を上げる

左右に3色ずつ、合計6色の花を添えて、
顔の前で手を合わせる
10秒程、沈黙の時間が続いた
ななもり。
…よし、帰…
帰ろうかと言おうとした時、
春には少し暖かすぎる風が強く吹いた
風が通り過ぎると同時に後ろの気配を感じた
それは皆もだったようで、一斉に振り返る
他の人のお墓しかないはずの景色に、
赤い髪の、オッドアイが見えた
全員共通しているようで、顔に驚きを浮かべている

真顔だった彼は、ふっと頬笑みを浮かべた
見惚れてしまう程神秘的で、どこか物悲しい笑顔
その笑顔のまま、口の動きで何かを伝えると、
スっと風に溶けて消えていった
莉犬
─────
唖然としていた
全員が同じ気持ちだろう
彼が最後に伝えたかった事
皆は頭に?を浮かべ、お互いを見合っていたが
俺には伝わった

そうだね、いつまでもこうしちゃいられない
最後に彼の本音が聞けたことで、
悲しみの気持ちが消えたといえば嘘になるけれど、
心がふっと軽くなった気がする
彼の言葉に、救われた
何も出来ずに、救ってあげられなかったのは俺だが
それでも、俺は長男だからね

せめて、この当たり前じゃない当たり前の日常を
守れるように、強くならなくちゃ
もう、誰も失いたくないから
欠けることは、俺が絶対に許さない

そうだ、前を向け
後ろから彼が背中を押してくれる
ななもり。
…よし
さとみ
…なーくん?
ななもり。
ふふっ…そうだね
ななもり。
今日はどこかに食べに行こっか!
るぅと
え、急ですね
ジェル
外食!?俺焼肉!!!!
さとみ
肉食うべ
ころん
バナナァァァァァ!!!
さとみ
黙れ
ころん
あれ
るぅと
お寿司食べたいです…
ジェル
じゃあ肉寿司食おうや!
るぅと
最高のコラボです!!!
ころん
僕のバナナは?
さとみ
家で食え
ころん
はい
悲しい雰囲気から、皆が笑顔になってくれた
彼に…感謝しないと、ね
これからも、見守ってくれると信じて

間違う時があるかもしれない…
でも…許してくれるかな?


莉犬くん
5月
無意識に見上げた空は、
あの日と同じように綺麗な快晴だった

でも、今度は嫌じゃない
むしろ、新たなスタートだと思える
墓地を抜けた足は、軽かった
赤色の花がひらひらと揺れていた

空は、いつまでも綺麗なままだった





莉犬
ありがとう

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