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♪…________♬♪…___________♪……
聞き慣れない、ピアノの音が聞こえる。
そう思ったと同時に、急に視界が開いて……ピアノを弾いている少年の背中が見えた。
それを見ている俺の身体には力が入らない。
…………夢、なのかな。
あなた『…………この曲、』
“エリーゼのために”。
俺が中学生のとき、よく練習していた曲だ。
それでも俺の当時の音色よりは拙く、どこか辿々しくも感じる。
ちゃんとしたリズムや拍が掴みきれていないようで、違和感も感じた。
あなた『………………え、?』
段々、少年の姿が移り変わっていく。
黒くて短い髪も青緑色の長い髪に変わっていき、身体の大きさも……性別も。
………………ミク。
________…♪、____________♬、♪……
突然ミクが俯き始め、一音一音がはっきりと聴こえてくるほどゆっくりな演奏に。
そんな演奏も遂には止まり、鍵盤を押したまま俯くミク。
無造作に伸ばされているこの音たちも、不気味に感じてしまった。
この光景は、既視感がある 。
俺も昔、自分のやっていることが馬鹿らしくなって……ピアノを前にして、俯いたんだ。
…………そ、れで 。
心の中で、 強く想ったんだ 。
ミク『_________音楽で 、 殺して 。 』
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あなた「…………っ、!!!」
ハッとして、思わず目が覚めた。
見慣れない天井と、横になっている俺の頭に置かれてる手。
現状に理解ができなかったけど、意識を傾けると……数人で話している声が聞こえる。
それは、置かれた手の人物も。
類「「伝説の騎士…だと?そんなのは有り得ない、実在しているはずは…、」」
寧々「「騎士様…………クロード卿!どうして貴方が…?!」」
クロードとは、俺の役の名前だ。
少し上を向くと、台本を片手に俺の頭を撫でている神代先輩が見える。
不覚にも、こんな近くに居るのが女子じゃなくて良かったと思ってしまったが……これはこれで恥ずかしい。
司「………………。」
類「司くん、次…、」
司「あっ、すまん。あなたの役はオレが代わると言ったんだったな…えーと、」
あなた「………「俺はお前を助けに来たのではない。」だよ。」
類「!」
寧々「…あなた、!」
先輩の言葉を遮り、何度も読み返してきた台本の台詞を口にする。
頭の上に置かれていた手をどかし、上半身を起こした。
あなた「……皆、何でここに。」
寧々「今日、練習の日なのに類とあなたが来ないから…見に来たの。」
えむ「そしたら、類くんとあなたくんがぎゅーってしながら寝てたんだよね!」
昨日先輩に抱き締められたあと、記憶が無いし……直ぐに寝落ちでもしてしまったのだろうか。
他人の部屋で一夜を過ごしたと思うと、申し訳なくも感じる。
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あなた「…ぎ、ぎゅー……??」
時差で聞き捨てならない言葉を広い、その張本人である神代先輩の方を向いた。
ニッコニコじゃねぇか。
あなた「神代先輩、何を……、」
類「おや、今日は名前で呼んでくれないのかい?」
あなた「……。」
これ以上反論するのも馬鹿らしくなってきて、部屋にある時計を見る。
10時……練習の約束していた時刻より2時間も遅刻してしまっている。
あなた「ごめんなさい、起こしてくれれば良かったのに……。今日は編集作業があるので、早く切り上げないといけないんだよ。」
寧々「あぁ、確かにこの前言ってたね。」
エルとして投稿するための歌。
要らない場面のカットとか、MIXとか…人前に出すまでの工程がまだまだ残っていて。
……ミクにも、聴いてもらわないとな。
あなた「新曲だから………最大限、ミクの声を響かせてやりたい。」
司「………………ミク、か。」
そのとき、天馬先輩が何を思ったのか視線を逸らした。
拳を握りしめ、口を開く。
突然で、……思いがけないことだった。
司「あなたにも………………“セカイ”があるのか?」
あなた「………………………………え?」













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。