それからは一晩中泣き明かした。 歯ブラシや衣服……みんなが確かにここに居た形跡はあるのに本人達が居ない事実がただただ寂しかった。
しかし泣いたとてみんなが戻ってくる訳もないし、そもそもみんなは元は向こうの世界の人物。 ……いつも通りの日常だと思ったのに、ある日突然非日常になり……それが元に戻った。 それだけの事だ。
どんな時でも腹は減る。 最後に作ってもらってあったであろう、味噌汁と炒め物を盛っていただきますをする。
静かな部屋に一人だけの食器の音が響く。 食べ終わって食器を洗い、大学へ行く準備を整える。
───シーン……
そう、これが普通でこれが私の元の日常だ。 大学へ向かい講義に出席してレポートをまとめ、終わったらバイトに向かう……みんなが元の世界に戻れただけで、あとは何も変わらない日々を過ごしていくだけ。
───
─────
わ「先輩、最近何かありました?」
みんなが元の世界に戻って数日後のバイト終了後、唐突に聞いてきたわかばちゃん。
わ「だって先輩、最近ずっと元気無いんスもん。 それに急にサングラスを首に掛け始めて……ハッ!まさか先輩……男っスか?」
な「えっ!あなたちゃんにも好きな男の人が!?」
本当どこから聞いてたのか、なっしーこと小梨さんも加わってきた。 二人とも圧が凄い。
な「ステキ!帰る前にくれたって事は向こうはあなたちゃんの事が好きなのね!」
な「……じゃあビデオ通話とか!好きなら好きって言わないと、次会えた時ぎこちなくなるわよ」
な「んもう!もどかしいわねぇ!」
彼氏持ちの小梨さんは頬に両手を置いてキャーキャー言っているが、"恋愛的な意味じゃない"と私が今さっき言った事をもう忘れているのだろうか。 次会えた時って……会えないし……













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!