<ゆきむら。目線>
僕が話し終えた沈黙の後は、いつもとは違って誰も口を開かなかった。
皆気まずそうだった。
皆気まずそうだったけれど、初めて会ったときより少し「自分」の心の中にある””蕾””が膨らんできているように見えた。
誰も話し出さないので埒が明かないと思った僕は、仕方無しに口を開いた。
僕らの夜は今始まったばっかりで、そう簡単に明けないらしかった。
まひとも僕と一緒に話し合いの舵を切ってくれる事になり、黄色の人…確か、「そうま」とピンクの人…「てると」の2人は、いわゆる「半ば話し合い放棄」みたいな状況だったけれど、渋々話し合いには参加してくれることになった。
さっき役に立ってくれた、やはり大人数の兄弟をまとめていただけある「まひと」は、さっきの「しゆん」と「ばぁう」が話し合いから離脱しかかっていたのをヤンワリと戻してみせていた。
そういった所を見ると、この手の人間関係についてのモツレはまひとが一番能力を得ているんだな、そう思った。
泣いてしまったら自分が壊れてしまうかもしれない。
泣いてしまったら自分が保てなくなってしまうかもしれない。
明日、昨日と同じように頑張れないかもしれない。
明日、同じようにもう笑えなくなるかもしれない。
…ああ、こんなに苦しかったんだね。
ああ、こんなに辛かったんだね。
分かってあげられなくてごめんね。
もういいんだよ、もうそんな生き方しないでいい。
もうそんな何もかも背負うなんて。
もうやめてしまっていい。
だって……
6人それぞれ、生きていていい理由、自分が自分として認められる場所を見つけた気がした。
アンケート
花いちもんめ 大阪にお住まいの人で共感できる方
わいもこれだべ
35%
なんだそれだべ
10%
しらねぇべ
55%
投票数: 120票
アンケート
花いちもんめ 東京にお住まいの方これであってますか
あっちょるだべ
39%
ちがうだべ
9%
お前は何を言うとるん
52%
投票数: 128票
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。