のぞむ……
嬉しいな…
意味はわからんけど、まぁ、あの子のことやし……
い、いってもーた……
なんか、めっちゃ急いでたな……
俺はブランコに乗ってあの子を待つ
この時間になれば帰ってくる
って感じに
今日は一段と遅いな
なんやろ…どうしたんやろ
待っていたら人影が見えた
な、なんやねんその顔
その傷
目ぇ…見えてる?
痛そう
痣もデカいし……
口切れてる………
それに鼻血まで
痛そうや
ホンマに…怖くないんか?
今日も喧嘩してもうたんか?
え、な、なに?
痛い、ほっぺた、痛い…?
あの子が僕に抱きついてくる
赤く染った夕焼けの下
目を真っ赤に染めた君と2人きり
向こうの山が暗く鳴りだした
これは、この子に言っても信じて貰えないのだろう
まぁ、どうにか……うん…
ずっとずっと気になってたこと
それにこんな怪我するって
大喧嘩なんやなぁ
仲直りせんとなぁ……
な、なんや…嬉しくなさそうやん……
ん?そんなことより?
その子はあからさまに話を変え
僕にいつも見せる
作ったえがおを向けた
気まずそうに下を向く君
優しく手を握って
きゅ
と音でもするかのように眉を寄せながらあやまる
そんな顔が
好き
黒くて大きな瞳が
俺を吸い込むかのように見つめる
只只、沈黙の時間が流れる
もう帰ってまうんか
今日はあんま楽しなかったな
これが俺が最後に聞いた君の声
個人的に『ナオしてあげる』のところがカタカナなのがすこ
自分たちとは違う意味の"なおす”って意味っぽくて
次回もお楽しみに
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。