名前を呼ばれて、身を覚ます。
そこにはいつもの如く美しい顔が近くにあった。

そう言って慊人を押しのけながら起き上がる。
すると優しく顔を掴まれて上から唇が降り注いだ。

本心なのかどうか分からないいつもの口調でいつものようにキスをする。

その目は笑っているが笑っていなかった。

それが愛おしく感じる私は、重症だ。













服を着替えて慊人の部屋に向かう。
慊人の部屋に来たら1日、ほとんど出ることは無い。

10年程ずっとそんな感じだから今更違和感は無い。

慊人と共に起き慊人の傍につき慊人の部屋で慊人を待つ。変わらない日々、不変。

だが周りの大人……はとりは酷く心配していた。

笑ってそう返す。
大丈夫かどうかと言われてもよく分からなかった。
紫呉は、私にいつも同じ質問をしてきた。

その質問に私はいつもこう返す。

私は、草摩は……歪んでいる。