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第1話

空はまだ見ていない
335
2025/10/18 09:26 更新








ずっと、死にたいと思っていた。




でも自殺するのは怖くて、今まで精一杯生きてきた。




…そんな私に"仕方なく"死ぬ選択肢があったとしたら?












医者
あなたの余命は、あと半年です。
なので、秋頃までに手術を受けることを推奨します。
医者
ですが、あなたの下の名前さんは手術を受けないとの事なので…また気が変わったら病院へ訪れて下さい。
あなた
分かりました

医者
…あの、お母さん?
お母さん
はい?
医者
今、娘さんの大事な話なので…
お母さん
あぁ、聞いてますよ
お母さん
いつ死んでもおかしくないんですよね
医者
…仮にも親なら、もっと関心を持って寄り添ってあげて下さい
お母さん
あー…はいはい

スマホを見ながら医者と話しているお母さんは、私について何一つ興味がない。
ただ今日は両親がいないと私が退院出来ないとの事だったので、たまたま来てくれた。

あなた
失礼します

診断書を貰った後、そう一言だけ言って私たちは病院を出て電車で家に帰った。


この家はマンションの角部屋で、主な部屋がリビングと寝室しか無い格安物件だ。
ちなみに隣の部屋には、幼なじみのたらこが住んでいる。

あなた
家出よっと…

自分の部屋なんて無いのでいつもリビングの床に寝っ転がっているが、親が居ると空気が重い。
少し息苦しく感じたので、私はスマホを持って部屋着のまま家を出た。

あなた
邪魔するねー
trk
邪魔すんなら帰ってー
あなた
やだー

玄関のチャイムの鳴らさずにドアを開けるのも最初の方こそ何か言われていたものの、今では何も言われない。
そして、彼の両親も何故かこれを黙認してくれているので助かっている。

trk
あなたの下の名前、体は大丈夫なの?
あなた
あー、うん
trk
絶対大丈夫じゃないやつ
あなた
別に後遺症とかも無いし
trk
ほんとに?

余命宣告なので後遺症よりももっと重い気もするが、別にそれを言う気は無いので話を逸らした。

あなた
ところでさ、たらこはあのゲーム買った?
trk
最近話題のあれ?
あなた
多分そう
trk
部屋に置いてあるよ
trk
開けるの怖くて、未開封で飾ってる
あなた
日に日に価値上がってるもんね
trk
高額転売したい

私は常に金欠だから、ゲームを買うお金が無い。
なので、毎日のようにたらこの家でゲームをしている。

今日もまた、2人でやる対戦ゲームをしてみることになった。

あなた
えっー…それいけるんだ
trk
あなたの下の名前下手くそー

私はゲームが下手だ。
それも、壊滅的なほどに。

あなた
この天才肌め…

trk
次のゲーム、俺が勝ったら次のテスト範囲の勉強教えてよ
あなた
いいよ。絶対負けないし

ただ、私は学問の成績が良い。
高校は首席で入学したので、学費は免除された。
まぁ、入院中はほとんど勉強していなかったんですけど…。

あなた
なんでそんなに強いの!!!
trk
ざーこざーこ!!

そう言われてから、私はすぐにゲーム機を手放した。

あなた
ゲームなんてやってらんない
あなた
テストで学年1位取れば良いし
trk
俺にゲームで勝つよりもそっちのが難しいけどね?
あなた
難しさの基準は人によって違うから…
trk
あなたの下の名前にとっては、俺にゲームで勝つ方が難しいの?
あなた
そりゃもちろん
あなた
勉強なんて、暗記すれば良いだけだからね
trk
やば
trk
暗記とかしたくないんだけど
あなた
それはもう終わりだよ

私はそう言ってケラケラ笑いながら、たらこのテキストを取り出した。
教えるからには、絶対にたらこをクラス1位にしてやらないといけない。
…まぁ、学年1位は私は貰いますけど。

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