じなん(もといダミアン)のその心の声が
聞こえた瞬間、
アーニャはその場から逃げ出したくなった。
じなんのせいでとても顔が熱いし、
その顔をベッキーには見られるし、
今日は色々となんだかいつもの2倍くらい
おかしいように思える。
何も特別なことは起こらない普通の日なのに。
じなんと
あと1つだけになったピーナツの取り合いをしていた事も、馬鹿馬鹿しく思えてきた。
そう、ついさっきまではアーニャはいつも通りじなんと会話をしていたのだ。
_______________なのに。
普段からダミアンの心の声が、
「可愛い」
----などと言っているのには気づいていたが、
流石にここまでストレートに言われた事は無かった((心の声で))
だからアーニャも狼狽えた。
アーニャには恋愛という感情が未だに理解出来ていなかった。
パチチ、パチ
アーニャには初めての感情だった。
一方、
アーニャとベッキーが楽しげに話し込んでいるのを見て、ダミアンは眉を潜めるのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!