光。
真っ白な眩い光の球が、辺りを照らしている。
常に空は暗黒で塗りつぶされているから、
いつも地面から数mの高さに光球がふよふよ浮いてる。
それは見慣れた光景ではあるんだけど…
家を出たら、いつもの白い光だけじゃなく、
赤色、青色、緑色、茶色の光もある…!
あっ、いつもより白色の光も多い……?
△[ 元気一杯な愛し子 = 白葉 利露 ]
私がわくわくしながら声をかけると、
隣に立っている子がふわりと微笑んでくれた。
△[ 孤独だった化身 = 鈴明 深歌 ]
実はこの光球は魔力の塊。
高エネルギーで触れたら危ないから、いつも高い所で
ふよふよ浮いてるんだけど…。
いつもある "白色の光球" は風属性の魔力。
これは専門の役職の人達が毎日やってくれてるみたい。
ええと、確か…公共魔法庁の人達だっけ。
そして今は、いつもより4色多い。
それに白色の光球も多くなってるから…全属性の魔力!
つまり、多分先生全員がこれをやってるってこと!
凄いなあ、やっぱり魔法学院本校の先生って凄い!
見上げる。大きな大きな門が、どっしりと構えている。
その下をくぐるのは、瞳をキラキラさせた新入生達。
門から続く道の脇には、在校生や教師達。
奥には大きく、そして古い見た目の建物が並んでいる。
見たこともない、不思議な色の花々が花壇に咲いている。
勧誘も兼ねてだろう、大蛇の魔獣が宙を泳いでいる。
空は変わらず暗黒のみ映しているが、
その空間だけは彩りや不思議に満ち満ちていた。
これが、魔法学院本校 _ 通称 Great Wizard's Academy。
彼らは、そこに足を踏み入れている!
門の前にぽつり。立っている少女が居る。
白緑色の瞳は、 "喜" の感情で輝いていた。
△[ 不思議の国の研究者 = 晴峯 麻白 ]
すぐに鼻歌でも歌ってしまいそうなほど、
かなり上機嫌ににこにこしている。
すると、辺りがざわついた。周囲の人が動揺している。
いや…このざわつきは、人の声だけではない。
何か風を切るような音が、天空から。
見上げると __ 凄い速度で落下してくる、何か。
その "何か" は偶然か必然か、麻白の真横に着地した。
人だった。 "何か" は、少なくとも人の見た目だった。
黒髪に紫の瞳のその男性は、抱えていた少年を降ろす。
少年がひらひらと手を振ると、その男性は頷き、消えた。
否。厳密に言うと、凄い速度で再び空へ飛んだのだ。
残された少年は人当たりの良さそうな笑みだったが、
周囲の人は近づこうとしない。
当たり前だ。意味の分からない(恐らく)登校方法なのだ。
しかし。
麻白だけがその少年に話しかけた。
少年は麻白を見て、にこりと笑う。嬉しそうだ。
△[ 狂気に染まった愛 = 神々廻 司苑 ]
気付けば周囲の人達は、司苑が現れる前のように
賑やかに、嬉しそうにして麻白の隣を通りすぎて行く。
それはきっと、当たり前のことなのだ。
"少年による普通じゃない登校" はもう昔の話であり、
彼ら彼女らはそれに順応したか無視したかのどちらかだ。
たったそれだけのこと。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!