大学の入学を機に神戸から上京することになり足を踏み入れた都内
電車を乗り継いで着いた頃には空は暗く月が昇っていた
大きなキャリーケースを引き、今日から暮らすことになるマンションを見上げれば
綺麗な外装に胸が躍る
「すみません、連絡してた鶴房ですけど」
管理人室を覗いて声をかければ自分の親とさして変わらないくらいの管理人が出てきた
「あー!汐恩くん!」
"大きくなったね!"と目を細めて笑う男性
親と昔馴染みで俺が小さい頃はよく遊びに来ていたようだが
正直そんな昔の記憶なんてほとんどないので初対面も同然だった
俺が一人暮らしを始めると言うと格安で部屋を貸してくれると言ってくれたらしい
「お世話になります」
管理人)「よろしくね!これ鍵...あれ」
「どうしたんすか?」
管理人)「いや、マスターキーが見当たらなくって」
「マスターキー?」
"おかしいな"と辺りを探しているようだが、どうも見つからないらしい
マスターキーが何かは知らないが重要なものという事だけはわかる
それを無くしてしまっている現状に不信感を抱きつつも見つかり次第届けるという約束で合鍵を受け取った
エントランスを抜けてエレベーターのボタンを押す
先程の一件で不安は大きいがそれよりも一人暮らしの楽しみの方が今は大きかった
「304...」
部屋の番号を確認しつつ足を進めるとドアに掘られた"304"の文字を見つける
けれど様子がおかしい
カーテンの隙間からはうっすらと灯りが見えた
家具は備え付けであると聞いていたが灯りも業者の人が付けたままにしたのだろうか
疑問に思う点は多々あるが鍵に彫られた番号は間違いなくこの部屋の番号
如何せん初の一人暮らしなので勝手が分からない
何にせよ管理人さんのさっきの雰囲気からしてミスの1つや2つはあるだろうと思い鍵を開け、ドアノブを捻った












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。