時貞翁がご逝去なされたという電報があったのは
妙に赤暗い日没の時だった。
時貞翁とは、私達帝国血液銀行の取引先会社の一家。
「龍賀家」の当主であった人だ
同僚の水木がバタバタと駆け寄ってくる。
彼は取引先社長、であり時貞翁の義理息子龍賀克典と仲良くしている。
龍賀家とは関わりがある人物だ。
時貞翁は血清「M」で大きな業績を遺した人物だ。
水木が真剣な顔で隣のデスクに座った。
資料等をまとめ小綺麗に机の端に寄せる
一瞬思考が止まる。どういうことだ?
それに龍賀家というと、というかあの村は…
言いかけたところで水木がバッと頭を下げた
成程こいつは上司に対する反骨心も兼ねているのだろう
言いながらデスクから腰を上げる。
少し腰を反らすとポキポキと音が鳴った
少し歩き、二度ノックをして社長室に入る
私と水木がお辞儀をし社長室に入る。
静かに戸を閉じて、変に血みたいな色をした窓からの光を受け止めた。
部長が少し面食らったような神妙な顔をした。
社長の方を見たが社長はどこを向いているのか分からなかった。
部長は困ったようにこちらを見返し、静かにため息をついた。
水木の方をちら、と見る。
彼はこちらを少し見返し、背広の袖を巻くって腕時計を見た
そして二人して頭を下げた
ありがとうございますと感謝を述べ一礼し社長室から出ていく
扉を締め切る直前部屋の中から
そう聞こえたが、
聞こえなかった。そう言い聞かせて扉を閉じた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!