第72話

片割れ
90
2026/02/09 12:51 更新
白い死体。



それは、ヨコハマでただ一人あなたのみが作れる死体。



死体を作るには、如何なる戦闘でも相手に傷を付けてはいけない。



完全な状態で、悪夢のような不気味さを兼ね備える死体。



首の後ろ、少しだけ出っ張った場所を正確に叩き割る。



そこには神経の塊があり、破壊されれば死はもちろん、良くて意識不明の植物状態だ。
あなた
白い死体の製造者は、私だけ。貴方も、白い死体になる?
相手の背中に回り込む。



音も立てず袖口から短刀を抜き、柄で首を殴る。



あなたが相手を手にかけるのは、マフィアに加入して初めての事だった。



重い音がして、二つ目の首の歪んだ死体ができる。



噂に違わぬ、擦り傷一つも付かない死体だった。
太宰治
白い死体の製造者…大戦があった頃からの伝説的な暗殺者。それを拝めるとはね
茶化すような太宰。
中原中也
てか、そんなんで殺せないとか良く云うぜ
やや噛みつく様な中也に、あなたは肩をすくめた。
あなた
使えるものは使うよ。特に、白い死体の製造者と云う名前は、私の証明書みたいなものだからね。譲れない
君達だって、便宜上「双黒」と名乗るでしょ?



そう聞かれ、苦い顔をする太宰と中也。
太宰治
まあ、良いよ。森さん…首領ボスには報告するけどね
あなた
分かったよ。どうせ、情報員は人手不足で人事移動はないしね
眠そうな死んだ目になるあなた。
坂口安吾
鈴門さん…大丈夫ですか?
見かねた坂口が声をかけた。
あなた
風邪引いてるせいで、テンションの上がり方が可笑しい
坂口安吾
な、なるほど?…所で、織田作さんはどちらへ?
織田作之助
こっちだ
先に周りを見て回っていたらしい。



織田は、外を指差して云った。
織田作之助
外に死体が三つほどあった。全て、頸動脈を正確に斬られていた。出血で地面が黒くなっている
あなた
頸動脈が?
すぐさま外へ飛び出すあなた。



皆慌てて追いかける。



外の死体三つは血がべっとりと付き、顔も見えない状態だった。



血が触れないぎりぎりの場所に立つあなた。



しばらくの間死体を見つめると、ぼそりと呟いた。
あなた
…黒い死体の製造者
中原中也
は?
太宰治
何だいそれは
聞き返す中也と、聞き逃さない太宰。



あなたは、またもやぼそりと云った。
あなた
私の片割れ…姉さんのあだ名が、黒い死体の製造者なんだよ








作者
投稿久しぶりですね。最近かなり時間が無くて、不規則投稿になりそうです。楽しみにしてくれている方々、ごめんなさい。よろしくお願いします

プリ小説オーディオドラマ