響が痙攣する。今、現在進行形で響は自分の命を奪う死神と戦っていた。
死ぬのは分かってても、最後まで。
僕がいるから、奏さんがいるから、響がいる。
この世界は全部他人評価だ。
人間が闇を抱える原点は、他人評価に納得がいかないから。
自分はもっと認められていいはずだ。
だって、こんなに頑張っているのだから。
でも、自分は頑張っているつもりでも───。
周りにとっては、それが当たり前だったら。
その人はただ当たり前の、普通のことをしているだけになる。
そんなの、酷いよな。
残酷だよな。
だけどそれが現実なんだ。
その現実を受け止めて、転んで泣いてすがって自分を作って泣いて泣いて転んで転んで。
死んだどうなるのか興味を持ち。
他人を憎み力尽きる。
でも、僕思うんだよね。
「どうして起き上がれるのに、起き上がらないの?」
って。起き上がったら、立ち上がったら…生きる価値が見つかるじゃないか。
世の中には、起き上がることが出来ない人間も存在するのに。例えば、目の前の戦士とか。
ねぇ、もう死にゆく君。
もう、絶対起き上がれないって分かってるのに、起き上がろうと奮闘している戦士さん。
まだ──生きることを諦めていない、龍造寺響。
僕、頑張って生きるから。君が望む限り、ずっとずっとずーっと、生きてやる。
だからさ、
僕の中でずーっと、生きて。
それは。
君がこの世から消え去るなら、生き残りの辛さも教えてやろう。
君が声を発せるのは、今だけ。
1個くらい、僕の望みを叶えてくれてもいいじゃん。
ずっと、楽君じゃなくて「楽」って呼ばれたかったんだ。
呆気にとられたような表情を浮かべる響。
フッ…と、響の体から、力が抜けた。
ゆっくりと…黒色の澄んだ瞳に、死の幕が下りていく。
響は、旅立った。
僕の腕に、身を委ねて。
心臓が痛くてたまらないはずなのに、どこか安らいだような顔をして。
僕は、必死に戦った彼女の体を抱きしめて。
1度だけ、こう告げた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。