あなたの下の名前side
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無理だ、と諦め切ってしまった私に、二人が言い放った言葉。
私は訳もわからずに、混乱しきっていたのだけど。
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と小競り合いをしながら
その間にもばったばった?と消えていく靄たち。
私はこう思わずにはいられなかった。
こんなことをしている場合ではない。
まず、地球防衛軍内に連絡。
私は息を整え、辺りを見渡して続けた。
私はぱっ、と戦っている二人へ視線を向けた。
めちゃめちゃ倒してる。もう終わりそう。
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そうして、副隊長からの連絡は途絶えた。
私はとりあえず、一般人の負傷者から治療する事とした。
……………
負傷者の状況は、私が黒い靄と戦ったときから変わっていなかった。
特に外傷はなく、首などを絞められた痕跡がない。
「殺されかけた」という痕跡が、何一つないのだ。
だとしたら痕跡がなくても、納得ではある。
私は治療系能力者ではないため、応急措置もできなくなってしまう。
原因さえ分かれば、食い止めることが出来るかもしれない。
私の呟きに、リカ王子、と呼ばれていた男性が声を上げた。
イケメン二人組の問いに、私はきょどることしかできなかった。(みんなもこんな場面に遭遇したらわかるよ。)
とりあえず敵が去ったことに、私は安堵した。
彼はそう言うと、倒れた一般人の脈を診た。
二人の目から見ても、この状況は好ましくないようだった。
イヌイ、という男性が言うには、"夢"が足りていないらしい。
私には、夢の必要性が理解できない。
そう感じたから、二人に質問を投げかけた。
漫画やアニメに出てくるような、素敵な名前だなぁと思った。
それから二人は、夢世界の説明をしてくれた。
なんでも二人の住む世界、夢世界では夢が人々の生きる力となるんだそうだ。
そしてほんの少し前まで、夢世界は人々の夢を喰べてしまう「ユメクイ」という存在に脅かされていたそうだ。
………
そう、まさにさっきまで戦っていた未確認物体。
私は疑問が湧いてくるばかりだった。
混乱した私は、勢いに任せて二人に強い言葉を投げかけてしまった。そんなことをしたって、事は良くならないと分かっているのに。
そう言うと、二人は私に紹介をしてくれた。
イヌイさんは、妖艶な笑みを浮かべて私に手を差し出した。
私もその手を取り、挨拶をする。
チョコレートの国、というなんとも美味しそうな名前の国の王子であるリカさんも、私の手を取って挨拶をしてくれた。
二人とも、the・陽キャのような性格をしてらっしゃって…。
人に名前を聞いておいて自分は自己紹介をしていない事に私は気がついた。
リカさんは微笑んでそう言った。なんとお優しい……と私は思った。
私が自己紹介をすると、二人は難しそうな顔をして、私に言った。
二人は"夢世界"の方だから、こちらの世界の事は知らなそうだ。
お二人は興味深そうに私の話を聞いてくれた。
私は少しだけ、自分が誇らしくなった。
……………
私がさっき呟いていたことが二人は気になるみたいだった。これまた説明になってしまうが…。
私は気になっていたことを挙げていくこととした。必殺仕事モードである。
夢を使うも何も、治す方法がわからなければ手を出したところでどうにもならない。
ロイド教官も「自分が全てを把握できないものに手を出すのはクールじゃない」…と言っていた。
意外に単純な方法で、普通に驚いた。
だか、単純という訳であって簡単という訳ではない。
次のは、私が知りたいと思っていたこと。
これがなんだかんだ一番重要かもしれない。
結局後で調査報告書を提出しなくてはならないのだから、この情報があった方が書きやすいし。
そういうとリカさんは、私に指輪を見せてくれた。

光り輝いて………そして、その指輪からは力が感じ取れた。
私が普段使っている、夢の力。それが凝縮されていた。
だが、私の力とは決定的に違う部分もあった。
この夢は、強い願いと誰かの想いが詰まっていた。
お二人は私が思う以上に凄い方なのだと認識させられた。
私は二人に頭を下げた。今までは王子相手に頭が高かったのかもしれない。
リミット、というのは負傷者の命のことだろう。確かにこのままだとまずい。
私が意気込むと、イヌイさんが笑みをこぼした。
まさかの可愛い。
人生で可愛いという言葉を言われなさすぎてちょっと混乱している。
イヌイさんはいかにも揶揄ったという感じに笑っている。これは一本取られてしまった。
先ほどの言葉をかき消すかのように、私は声を上げた。
ついさっきとは打って変わって、イヌイさんは真剣な表情を見せた。
矢張り、夢世界では聞きなれない言葉のようで。リカさんは首を傾げていた。
と、私が説明するとお二人は私のことを褒めてくださった。
地球防衛軍内でも珍しい能力ではあるんだけど、単に私の実力不足で重役なんかにはつけずにいるんだけど。
お二人の言葉は凄く頼もしく聞こえた。
この二人がいたら、私も誰かの光に慣れるかもしれない。
そんな考えが、私の頭をよぎった。
私達がこんなことをしているうちに、地球防衛軍から応援が来たみたいだ。
これからが、私達の戦いであると。
この時の私達は、知る由もなかった。
To be continue……
夢100編は次回の後書きにて!















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。