厳しい練習を終え、遂に本番当日。
全学年の親が訪れ、放送部の案内が校庭に響き渡っている。
一週間程前からしばらく雨が降っていたので、今日も雨で延期だと思っていたのだが…
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なんとラジオ体操も加点対象だとは…
できる限りきびきび手足を動かし、少しでも加点になればと努力する。
そうだ、先輩は…
体操服を着ているからこそわかる美脚。しなやかな腕。
何度見ても見惚れる。
近くを見るとそこにはあの湊先輩がいた。
鋭い目つきでこちらを見ている。
湊先輩の口が微かに動く
__ヒビキは俺の
とにかく…最悪な気分だ
何故ここまで嫌われたいるのか、わかったようなわからないような、とても複雑な気持ちだ。
この一連が、短い体操の中で行われていることだとは信じられない程、情報量の多い内容であった。
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俺は何故だか一番走者だ。
一組につき二人がでる。俺の隣にいるのはうちのクラスの、…
なんだったかな、…姫川、とか言ったか。
俺になんか擦り寄ってくるが、俺に下心とかは一切ない。
はっきりいってタイプじゃない。いかにもってほどの「かわいい」に全振りしている女の子は好きじゃない。
湊先輩に初めてあった時と同じように背筋がぞわっとした。
全身に纏わりつくような甘い声と目で俺を見る。
あぁ、今すぐここから逃げ出したい……
スターターピストルの乾いた音が大きく響く。
競走の始まりだ。
最初は…
椅子の上に風船が固定されている。
椅子に座って風船を割るのだろうか。
ものは試しだ。
なかなか破れないな…
もう一回勢いをつけて座る。
大きな衝撃と共に風船が破れた。
そのまま続けて4個破る。
次は……
目の前に見えるは金属バット。
いわゆる「グルグルバット」で使うのだろう。
俺は意外にも三半規管が弱いので、一番きてほしくない競技だった。
バットを手にして地面につけて、グルグル30回ほど回った。
猛烈な吐き気が俺を襲う。
___もう諦めるしか…
そう思った時だった。
先輩の声が聴こえた。
___これは応えるしかないな
苦笑して立ち上がる。
袖で汗を拭って、次の競技を見ると、パンが紐から吊り下がっている。
俺もそこそこ自信のある脚力で地面を強く蹴り上げる。
紐が意外と長かったので、易々とパンを取ることができた。
そのままパンを咥えたまま全速力でゴールテープまで走る。
紬先輩と響先輩の歓声が湧き上がった。
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ピストルの音と先生の声が聞こえる。
選手が走り出し、応援の声と定番の曲が響く。
次々とバトンが繋がれ、早くも先輩達アンカーへと渡る。
俺が大声を張り上げて響先輩へ言うと、先輩がこちらを見て、
___がんばるよ、
といったように感じた。
響先輩に一位でバトンが渡る。
そう思った時だった。
響先輩が足をもつれて転倒したのだ。
観衆の声がより大きくなった。
響先輩はそれでも立ち上がり、最下位でゴールとなった。
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放課後、俺は一目散に3年生の教室へ行って響先輩に声をかけた。
ふと見渡すと響先輩は机に突っ伏して泣いているようだ。
隣で紬先輩も慰めている。
紬先輩に言われて俺は響先輩の元へと行った。
と俺が声をかけると、目の周りを真っ赤に腫らした先輩がゆっくりと顔を上げる。
そして、
といってまた泣いてしまった。
___あぁ、俺、やっちゃったかも…

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。