第7話

第三章(四季目線) ばらばら②
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2024/11/15 10:52 更新
厳しい練習を終え、遂に本番当日。

全学年の親が訪れ、放送部の案内が校庭に響き渡っている。
佐々木 律
佐々木 律
いやぁ晴れたね〜
どんまい四季っ
一週間程前からしばらく雨が降っていたので、今日も雨で延期だと思っていたのだが…
放送部員
あー、あー、マイクテスト、マイクテスト
本日は晴天なり!
                   ♦︎   ♦︎   ♦︎

放送部員
さぁ始まりました、体育祭!
最初はラジオ体操、なんとこちらも加点対象!
それでは、ラジオ体操〜
一条 四季
一条 四季
ぇ、いや、初耳…っ!
なんとラジオ体操も加点対象だとは…

できる限りきびきび手足を動かし、少しでも加点になればと努力する。

そうだ、先輩は…

体操服を着ているからこそわかる美脚。しなやかな腕。

何度見ても見惚れる。

一条 四季
一条 四季
(あれ、なんか視線が…)
近くを見るとそこにはあの•  •湊先輩がいた。

鋭い目つきでこちらを見ている。

湊先輩の口が微かに動く

__ヒビキは俺の

一条 四季
一条 四季
っ、!?
とにかく…最悪な気分だ

何故ここまで嫌われたいるのか、わかったようなわからないような、とても複雑な気持ちだ。

この一連が、短い体操の中で行われていることだとは信じられない程、情報量の多い内容であった。

                    ♦︎ ♦︎ ♦︎
放送部員
さぁこれから始まります競技は一年生障害物競走!
200mの短さで繰り広げられる困難に立ち向かえるかッ
俺は何故だか一番走者だ。

一組につき二人がでる。俺の隣にいるのはうちのクラスの、…

なんだったかな、…姫川、とか言ったか。

俺になんか擦り寄ってくるが、俺に下心とかは一切ない。
はっきりいってタイプじゃない。いかにもってほどの「かわいい」に全振りしている女の子は好きじゃない。
姫川 愛
姫川 愛
なんですか〜?
さっきからずーっとこっち見て、
湊先輩に初めてあった時と同じように背筋がぞわっとした。

全身に纏わりつくような甘い声と目で俺を見る。

あぁ、今すぐここから逃げ出したい……
先生
位置について、よーい!
スターターピストルの乾いた音が大きく響く。

競走の始まりだ。

最初は…

一条 四季
一条 四季
なんだあれ、?
椅子の上に風船が固定されている。

椅子に座って風船を割るのだろうか。

ものは試しだ。

一条 四季
一条 四季
ふんっ
なかなか破れないな…

もう一回勢いをつけて座る。

大きな衝撃と共に風船が破れた。

一条 四季
一条 四季
よし……このまま…
そのまま続けて4個破る。

放送部員
おぉーっと、一番に最初の難関を突破したのは一年一条四季!
このまま一位をキープできるか!?
次は……

一条 四季
一条 四季
最悪だ〜……
目の前に見えるは金属バット。

いわゆる「グルグルバット」で使うのだろう。

俺は意外にも三半規管が弱いので、一番きてほしくない競技だった。

一条 四季
一条 四季
やるしかない、か…
バットを手にして地面につけて、グルグル30回ほど回った。

一条 四季
一条 四季
ぅぷ…
猛烈な吐き気が俺を襲う。

___もう諦めるしか…

そう思った時だった。

小鳥遊 響
小鳥遊 響
四季ー!がんばれーっ
一条 四季
一条 四季
…!
先輩の声が聴こえた。

___これは応えるしかないな

苦笑して立ち上がる。

袖で汗を拭って、次の競技を見ると、パンが紐から吊り下がっている。
一条 四季
一条 四季
あれが最後…!
一条 四季
一条 四季
よっ…
俺もそこそこ自信のある脚力で地面を強く蹴り上げる。

紐が意外と長かったので、易々とパンを取ることができた。

そのままパンを咥えたまま全速力でゴールテープまで走る。

放送部員
いま、一年一条四季がゴールテープを切ったー!
ダントツの一位でゴールだーっ!
小鳥遊 響
小鳥遊 響
やったぁっ!
紬先輩と響先輩の歓声が湧き上がった。

                    ♦︎ ♦︎ ♦︎

放送部員
どんどん行きますよ〜
続いて3年生のリレー!
ピストルの音と先生の声が聞こえる。

選手が走り出し、応援の声と定番の曲が響く。

次々とバトンが繋がれ、早くも先輩達アンカーへと渡る。

一条 四季
一条 四季
頑張ってくださいッ…!
俺が大声を張り上げて響先輩へ言うと、先輩がこちらを見て、

___がんばるよ、

といったように感じた。

響先輩に一位でバトンが渡る。

一条 四季
一条 四季
(よし、このまま一位で…!)
そう思った時だった。

響先輩が足をもつれて転倒したのだ。

観衆の声がより大きくなった。

響先輩はそれでも立ち上がり、最下位でゴールとなった。

                   ♦︎ ♦︎ ♦︎

一条 四季
一条 四季
響先輩っ、大丈夫でしたか!?
放課後、俺は一目散に3年生の教室へ行って響先輩に声をかけた。

ふと見渡すと響先輩は机に突っ伏して泣いているようだ。
隣で紬先輩も慰めている。

神崎 紬
神崎 紬
入ってきていいよ
紬先輩に言われて俺は響先輩の元へと行った。

一条 四季
一条 四季
あの、凄かったです、!
気にすることないと、思います
と俺が声をかけると、目の周りを真っ赤に腫らした先輩がゆっくりと顔を上げる。

そして、

小鳥遊 響
小鳥遊 響
そんな慰め、いらない
といってまた泣いてしまった。

___あぁ、俺、やっちゃったかも…

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