第3話

地下搬送路の罠
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2026/02/28 05:54 更新
地下40メートル。

ネオアーク社の地下搬送路。

人工的に掘られた巨大トンネルが、都市の下を静かに貫いている。

通常は無人搬送車のみが通行する完全自動区画。

だが今夜だけは違う。

赤外線、振動センサー、無人機銃座。

明らかに“戦場仕様”。

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エレベーターが停止する。

金属扉が開く。

最初に歩み出たのは――

甘狼このみ(指揮官)

黒の軽装戦術服。

配信で見せる柔らかさは一切ない。

冷たい瞳だけが、状況を計算している。

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甘狼このみ
「状況」

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虹深°ぬふ(虹影の人形遣い)
「地下搬送路、全長1.8キロ。中央制御室は奥500メートル地点。本物のEVA-Λはそこを通過予定」

モニター上に赤い点が点滅する。

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音ノ瀬らこ(追跡の申し子)
「足跡、ある。人間。警備員じゃない。……軍用ブーツ」

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ゆらぎゆら(重量武器の姫)
「戦えるね」

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甘狼このみ
「最小限で済ませる」

一拍。

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甘狼このみ
「――行くよ」

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全員が動く。

無音に近い速度で。

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天井の影。

そこを滑るように移動するのは――

眠雲ツクリ(微睡の暗殺者)

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眠雲ツクリ
「前方50メートル、機銃座。人員二。眠らせる?」

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あくび・でもんすぺーど(眠り喰らいの悪魔)
「任せろっ」

小さく指を鳴らす。

通路の空気がわずかに揺らぐ。

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警備兵A
「……なんか、急に……」

警備兵B
「眠……」

二人は静かに崩れ落ちる。

発砲なし。

警報なし。

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小廻こま(おとり作戦の秀才)
「はい、ステルス成功~。このまま中央まで行けるといいねぇ」

その軽さの裏に、緊張。

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だが。

通路中央に差し掛かった瞬間。

床が沈む。

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音ノ瀬らこ
「トラップ!」

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天井から防弾シャッターが降下。

前後を完全封鎖。

同時に、側壁がスライドする。

中から現れたのは――

黒装束の武装部隊。

ヘルメットには同じ紋章。

“R”を逆さにしたようなマーク。

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虹深°ぬふ
「……レインコード」

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通信が強制的に割り込む。

《ようこそ、M-Unit》

低い電子音声。

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《ここまで来ると読んでいた》

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甘狼このみ
「読まれていたのは、こちらの動きだけじゃない」

彼女は銃を構えない。

代わりに、全員へ短い指示。

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甘狼このみ
「ゆら、左壁。こま、右。らこは後方の逃走経路を確保。ツクリ、天井」

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ゆらぎゆら
「壊すね」

次の瞬間。

重低音。

ゆらの重量武器が壁面を粉砕する。

粉塵。

視界遮断。

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小廻こま
「わー!派手派手ぇ!」

閃光弾。

視覚センサーを強制ダウン。

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音ノ乃のの(射撃の天才)
「弾道計算完了」

乾いた銃声が三発。

敵の武器だけを正確に撃ち抜く。

命は奪わない。

だが戦闘不能。

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しかし。

中央に一人、動かない影。

背丈は高い。

黒いコート。

素顔のまま。

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???
「さすがだな、ミリオンプロダクション」

声は加工されていない。

生身。

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甘狼このみ
「……あなたがレインコードの現場指揮官?」

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男は笑う。

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レインコード幹部
「君たちは“守っている”つもりだろう」

一歩、前へ。

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レインコード幹部
「だがEVA-Λは、守るための兵器じゃない。選別のための鍵だ」

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虹深°ぬふ
「選別……?」

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男はこのみを真っ直ぐ見る。

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レインコード幹部
「甘狼このみ。君は知らないのか?なぜ自分が指揮官に選ばれたのか」

空気が変わる。

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甘狼このみ
「挑発は無意味」

だが、胸がわずかに揺れる。

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レインコード幹部
「君の脳波パターンはEVA-Λと完全同期する」

沈黙。

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音ノ瀬らこ
「……そんなデータ、外部にないはず」

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レインコード幹部
「あるさ。内部に協力者がいるからな」

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その瞬間。

一瞬だけ。

ほんの一瞬だけ。

ぬふの端末がエラーを吐く。

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虹深°ぬふ
「え……?」

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誰も気づかないほど小さな違和感。

だがこのみは見逃さない。

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レインコード幹部
「本物のEVA-Λは、すでに起動している」

遠くから振動。

地鳴り。

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眠雲ツクリ
「中央制御室……動いてる」

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赤い警告表示。

《EVA-Λ 起動シークエンス開始》

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甘狼このみ

数秒、思考を超高速で回す。

選択肢は三つ。

1. ここで幹部を拘束
2. EVA-Λを止める
3. 仲間を守る

全ては不可能。

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レインコード幹部
「さあ、選べ。指揮官」

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このみは、迷わない。

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甘狼このみ
「全員、制御室へ。こいつは――このが止める」

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ゆらぎゆら
「一人で?」

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甘狼このみ
「命令」

絶対の声。

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仲間が走る。

残るのは二人。

静かな地下トンネル。

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レインコード幹部
「自己犠牲か。美しい」

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甘狼このみ
「違う」

銃を構える。

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甘狼このみ
「このは、全員で帰る」

引き金を引く。

銃声が地下に響く。

同時に、遠くでEVA-Λの起動音が唸りを上げる。

都市上空の通信衛星が一斉に点滅する。

世界規模のハッキングが始まろうとしていた。

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甘狼このみは、まだ知らない。

EVA-Λが“選別”する対象が何なのかを。

そして。

仲間の中に、
すでに決定的な亀裂が入っていることを。

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