第2話

配信開始、作戦開始
30
2026/02/25 10:17 更新
夜20時。

都内某所、高層ビルの一室。

防音スタジオに柔らかなライトが灯る。

モニターには待機画面。
コメント欄はすでに高速で流れている。

> 「待機!」
> 「今日の雑談なにー?」
> 「イラスト完成楽しみ!」

椅子に座る少女は、深く息を吸った。

ヘッドセットを装着し、マイク位置を微調整する。

その表情は柔らかい。

だが、瞳は鋭い。

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甘狼このみ(指揮官)
「……回線安定、暗号チャンネル接続。全員、状況報告」

部屋の照明が一段階落ちる。

壁面モニターに複数のウィンドウが浮かぶ。

それぞれのメンバーの位置情報、バイタル、作戦進行度。

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音ノ瀬らこ(追跡の申し子)
「ターゲット企業《ネオアーク・システムズ》本社ビル周辺、監視完了。裏口に警備ドローン三機追加。想定より多いね」

小廻こま(おとり作戦の秀才)
「こっちは炎上準備OK~。今から“ちょっとした騒ぎ”起こすね。SNSトレンド、5分で乗っ取る」

虹深°ぬふ(虹影の人形遣い)
「内部ネットワークに仮想端末を三つ設置。セキュリティAI、バージョン古い。かわいいね」

ゆらぎゆら(重量武器の姫)
「正面突破、いつでもいけるよ?壊す?」

甘狼このみ
「却下。今回は静かに奪う。壊すのは最後の手段」

その声は穏やかだが、絶対だ。

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時計は19時59分。

このみは一瞬だけ目を閉じる。

次に目を開いたとき、そこにいるのは――

“人気VTuber”甘狼このみ。

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配信開始。

甘狼このみ(配信モード)
「みんな~!こんばんわ!甘狼このみだよ~!」

コメントが爆発する。

> 「きたーー!」
> 「声かわいい!」
> 「待ってた!」

このみは微笑みながらペンタブを握る。

今日の配信内容は――イラスト雑談。

だが、その裏で。

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甘狼このみ(小声・暗号回線)
「こま、開始して」

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数秒後。

SNSトレンドに突如浮上するワード。

《#ネオアーク不正疑惑》

小廻こまの情報拡散スキルが炸裂する。

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小廻こま
「はい、炎上完了~。広報と幹部、会議室に集合してるよ。内部警備、手薄になった」

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音ノ瀬らこ
「今。裏口の搬入口、動いた。輸送車一台出る。例のAIコア積んでる可能性高い」

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ネオアーク社が秘密裏に開発している次世代AI兵器《EVA-Λ》。

国家防衛網を単独で突破可能な危険技術。

それを奪還するのが今回の任務。

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甘狼このみ
「らこ、追って。ツクリ、影に入って」

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眠雲ツクリ(微睡の暗殺者)
「了解。視界外、死角移動。気づかれないよ」

その声は静かすぎて、存在が溶ける。

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配信画面では。

甘狼このみ(配信モード)
「今日はね~、ちょっとかっこいい感じのイラスト描こうと思ってて!」

コメント欄は平和だ。

だが裏では、輸送車が高速道路へ入る。

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音ノ乃のの(射撃の天才)
「風速3.2。距離800。タイヤ、撃てる」

冷静な声。

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甘狼このみ
「撃たない。事故は起こさない。リズ」

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雨夜リズ(宵雨の同化者)
「もう屋根の上。擬態完了。内部侵入するね」

彼女は輸送車の金属色に溶け込むように同化する。

存在が“景色”になる。

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あくび・でもんすぺーど(眠り喰らいの悪魔)
「うぅ……運転手さん、眠くなぁれ……」

輸送車がふらりと減速する。

事故ではない。

ただ、安全に路肩へ停車しただけ。

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眠雲ツクリ
「開錠。制圧完了。非致傷」

※誰も命は奪わない。それがM-Unitの鉄則。

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虹深°ぬふ
「コア確認。これがEVA-Λ。……でも変だよ、指揮官」

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甘狼このみ
「何が?」

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虹深°ぬふ
「これ、“囮”。本体じゃない」

空気が凍る。

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その瞬間。

らこの息が乱れる。

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音ノ瀬らこ
「待って……別ルートにもう一台!地下搬送路!」

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甘狼このみ
「全員、第二経路へシフト!」

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だが遅い。

モニターが一瞬、乱れる。

暗号回線にノイズ。

知らない信号が混線する。

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《こちらレインコード》

低い電子音声。

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《ミリオンプロダクション。やはり君たちだったか》

全員が沈黙する。

敵は――こちらを知っている。

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配信画面では。

甘狼このみ(配信モード)
「あ、ちょっと回線重いかな?大丈夫かな~?」

コメントは笑っている。

> 「このみんの回線がんばれw」
> 「PONかわいい」

だが裏では。

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甘狼このみ(低く)
「……内部情報が漏れてる」

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《レインコード》は続ける。

《君たちの中に、我々と繋がっている者がいる》

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沈黙。

誰も呼吸をしない。

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ゆらぎゆら
「……壊していい?」

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甘狼このみ
「ダメ」

即答。

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甘狼このみ
「誰も疑わない。今は任務優先」

だが、その胸の奥に刺さる疑念。

もし本当に裏切り者がいるなら。

それでも、自分は指揮官でいられるのか。

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《レインコード》の通信が途切れる。

ノイズだけが残る。

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虹深°ぬふ
「地下搬送路、座標出た!本物、移動中!」

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甘狼このみ
「奪還する。絶対に」

その声は静かだが、揺るがない。

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配信はエンディングへ。

甘狼このみ(配信モード)
「今日は来てくれてありがとう!またね!」

画面がフェードアウトする。

だがこのみはヘッドセットを外さない。

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甘狼このみ(指揮官)
「第二ラウンド開始。地下へ潜る」

カメラのランプが消える。

代わりに、壁が開く。

スタジオの奥に隠された通路。

その先は、武装格納庫。

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甘狼このみは振り返らない。

ただ一言。

甘狼このみ
「――ミリオンプロダクション、作戦続行」

照明が赤に変わる。

地下へ続くエレベーターが降下する。

その先で待つのは、

敵か、裏切りか。

それとも――

本当の戦争か。
無い分はなんとなくに考えたので、少し変になるかも?って感じです

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