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第1話

1話
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2025/08/13 22:13 更新
夢の中で、またあいつが私の名前を呼んだ。
そして___消えた。
霧隠ラント
......ッ
喉が詰まったように、息が吸えない。
とけいを見ると、3時32分。
霧隠ラント
......また、こんな時間...か...
霧隠ラント
(何日連続でこれなんだ?)
霧隠ラント
(何度、同じ光景を見た?)
霧隠ラント
(何度、寺刃は私の前から消えていった?)
胸の奥がさわがしくて、横になるのも苦しい。
私だけ、取り残されているみたいだった。
霧隠ラント
......お前は、また笑って
“おはよう”と言うのだろう...?
霧隠ラント
それが......
それが、いちばん......
私は言葉の続きを、飲み込んだ。
夢の余韻に心がざわつくのをなんとか抑え、
ベッドから起き上がると、窓の外はまだ薄暗い。
霧隠ラント
まだ早すぎるな......
時計は4時半。高級生徒宿舎の空気はひたすら静かだ。
寝た気がしなかった。
だが、寝直す気にもなれない。
顔を洗い、制服に袖を通す。
誰にも会わないまま寮を出た。
まだ夜が残る朝の空気が肌に刺さる。
霧隠ラント
......また、同じ夢だ
寺刃が、私の名前を叫ぶ声が耳に残っている。
そして____わたしを庇って消える。
そんな夢ばかり、何度見ただろう。
1年生宿舎の玄関前に立つ。
誰も来ていない。
霧隠ラント
(知っている
私が早すぎるのは...)
ただ、それでも少しでも早く、あいつの顔が見たかった。
夢じゃないことを、確かめたかった。
朝の日差しが差し込む中、
YSPクラブのメンバーが次々に集まってくる。
私は壁に寄りかかって待っていた。
2年生は既に揃い始めている。
どこか静かだ。
すると蛇山がこちらに近ずいてきた。
蛇山チアキ
今日も早いっすね
霧隠ラント
まぁな
蛇山チアキ
それと最近様子が
おかしい気がするんだけど
どうなの?
私は無言で目線を逸らした。
表情、行動、態度には出していないつもりだった。
すると次々に他も口を開いた。
三又義ノズチカ
そうだな...
少し、普段と違うように見える
雷堂メラ
なんか、落ち着きが違うというか
九尾リュウスケ
気のせいって言われたら
そこまでだけどさ....
なんか違和感を感じるんだよね
七雲クウカ
ラントくん...
本当に何も無い?大丈夫?
霧隠ラント
大丈夫だ
霧隠ラント
お前たちが感じたのは
気のせいだろう
私は淡々とした声で返す。
それ以上、誰も言葉を重ねなかった。
姫川フブキ
遅れちゃってごめんなさい!
息を弾ませながら姫川さんが駆け寄ってきた。
姫川フブキ
朝から急いでて...
姫川フブキ
......あれ?
なんか雰囲気よくないですか?
も、もしかして私たちが
遅れちゃったからですか!?
姫川さんは小さく肩をすくめながら、
周囲を気にしている。
そのとき、遠くから賑やかな声が聞こえた。
寺刃ジンペイ
おっはよー!!みんな早ぇーな!!
いつも通り寺刃は元気いっぱいに走ってきた。
私にはやはりこの無邪気な笑顔は眩しかった。
まるで悪夢なんて見たことがないかのように____。
寺刃ジンペイ
今日は何するんだ?
小間と玉田も遅れて姿を現した。
小間サン太夫
ジンペイくん、ちょっと待っててば〜!!
玉田マタロウ
こ、コマくん、
なんか空気ピリついてない、?
小間サン太夫
これって、僕たちが遅れちゃったから、、?
玉田マタロウ
ご、ごめんなさい!!
姫川さん、小間、玉田は顔を見合わせて
焦った様子を見せている。
それと裏腹に寺刃は全く気付かず、
いつも通りのテンションだ。
霧隠ラント
気にするな
そこまで怒ってなどいない
姫川フブキ
そ、そうですか
霧隠ラント
あぁ
寺刃は気づいていない。
私がどんな夢を見ているのかも、
どんな気持ちでその笑顔を見ているのかも。
だが、気づかなくていい。
怪しまれてしまったが
誰にも確証をつかれる訳にはいかない。
霧隠ラント
(アイツらは知らないままでいい)
今日も、何も言わず
こいつらの様子を眺めながら並んで歩く。
夢とは違うのは______


〈次回へ続く〉

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