第2話

#1 幼馴染と繰り返す、あの夏。
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2026/02/22 05:18 更新
knmcty
あなたの下の名前。今日暇ですか?
暇ですよね
あなた
……否定させてくんない?
knmcty
暇なのに?
あなた
…まあ暇っちゃ、暇だけど。
knmcty
じゃあ今日の補習一緒に出ましょうか
前回僕1人だったんだからな
あなた
帰らせてくれ
高校1年生、夏。
俺は目の前の剣持刀也面倒な幼馴染に目を向けていた。
knmcty
大体、あなたの下の名前が言い出したんだろ
補習に参加したいけど1人は嫌だから一緒に来いって
あなた
や、そうだけど
今日はなんかな……言語化に苦しむんだけど1秒でも早く帰りたいって言う焦燥感に駆られてる
knmcty
それはやる気がない、で言語化できます


屁理屈が得意で、飾ったような敬語と垣間見えるタメ口と毒舌。
こんなキャラなのにクラスの中では隠れ真面目キャラで優等生なのがまた腹立たしい。

あなた
じゃあやる気がない
knmcty
なっw
はっきり言ったじゃんもう


笑い声はイルカの鳴き声みたいで、清楚感あふれる優等生な笑みが教師にも好評なのを俺は知っている。

あなた
大体、こんなむさ苦しい男子校で勉強に精出して毎日毎日補習出れる方がおかしいって
高1だぞ?青春だぞ???
knmcty
それを選んだんだろうが
あなた
高1ならもうちょっと冒険したくね?
knmcty
小5の感想すぎるって
あなた
いいよ小5で
knmcty
良くないだろ!w


そんな優等生と出会ってかれこれ12年。

小学生時代の夏休みは毎日小学校の裏の山で遊んで

中学生時代の夏休みは中学受験が終わった開放感から部活に打ち込んで

そして、今。
あなた
でもさ、割と真面目に小5の時に行ってたあの神社辺り、冒険したくね?
knmcty
あー…なんか行ってたな、毎日


この12年間で刀也と過ごさなかった夏はなかった。
knmcty
……行くか、久々に
あなた
そう言うと思ってましたよ
knmcty
ww
補習サボり、共犯ですよ
あなた
残念俺は前科一犯なので刀也の無欠席記録に傷が付くだけ〜
knmcty
いや別に前科二犯になるでしょ!


今年も蝉の鳴き声をこいつと聞く。

きっと来年も。

再来年も。

その先もずっと。



鞄を持ちながら、そんなしょうもないことを考えて、コンビニでアイスを買って神社に向かう。
久々に訪れた神社は記憶にあったよりずっと古びていて、ずっと小さくて、
かなり古くて禍々しい祠があった。
あなた
なんかさー、祠のミームみたいなのあったよな
knmcty
『あの祠を壊したのか…!?』のやつ?
あなた
そうそう
knmcty
あったよ、そんな不謹慎なミーム
あなた
さらに不謹慎なこと言うんだけど
knmcty
なんでだよ
俺たちが目の前に見ている祠。
記憶にある祠とかなり形状が違う。
あなた
……誰かここで『あの祠を壊したのか…!?』やってない?
knmcty
……いや、うん
多分これやってるよね
あなた
………
knmcty
………
あなた
え?祠って壊れたらどうなんだっけ?
knmcty
いや知らない
あなた
…帰る?
knmcty
バチ当たりそうじゃない?
あなた
いや…だってこの祠壊したの別に俺たちじゃないし…
knmcty
まあバチは当たんないか
あなた
……お供えだけしとく?
knmcty
しときましょう
都合よくさっきコンビニで買った未開封のキャラメルがある


キャラメルと、その辺で摘んだ花を供える。

なんとなく、「壊したのは俺たちじゃないです」と弁解の意を込めながらお祈りして祠に背を向けた。



どこかから、鐘のような音が聞こえた。
あなた
…?
刀也、今の聞こえた?
knmcty
なんか鐘みたいなのは聞こえたけど…あなたの下の名前が付けてるその鈴のキーホルダーじゃないでしょ
あなた
これの音はめっちゃ鈴だから違う
knmcty
………き、気のせいじゃないかな!
あなた
…………だよな!!
笑いながら気を紛らわせる。


帰ったらゲームしようぜ、とか提案して、流れるように刀也の家へ向かう。


俺たちにとって、ただのよくある日だったから。

 





???
みーつっけた










この日から、少しずつ、日常は変わっていたらしい。

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