〖リノside〗
あなたを好きになるのに時間はかからなかった。
明るくて優しくて、聞き上手で。あと猫好き。
猫が好きな人に悪い人はいないんだよ。
セルカを撮っているからイタズラしたくなって、あなたの後ろにひょこっと飛び出た。
慎重でガードが硬いところも好き。
俺が近くに行くと、サッと離れる。好きな子にされる態度としてはめっちゃ悲しいけど、アイドルとしては正解だ。
この子は平気でそういうこと言えるんだよ。
あなたの表情がみるみる曇って、困った顔になる。
冗談だ、といったらあなたの顔がホッとしたような顔になった。
困らせてごめん。
でも、どうしようもなく好きなんだよ。
この気持ちを抱えたままなんて死にそうだ。
好きになってごめん。
大好きでごめん、ごめん。
end.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!