『この子、鳳凰って言うみたい。
俺の能力がまだ低いからちっちゃいけど、そのうち僕が強くなれば一緒に育って、大っきくゴージャスになるんじゃないかって、買取商店ももん屋のオジサンが』
ひらひらと楽しげに舞う、宝石のような赤い鳥。
既に初めて見た時の手の平の大きさではなく、腕ぐらいの大きさに育っていた。
黒いアイリングが、アイラインのようだし、とさかの色の濃い飾り羽根が、まるで長い髪の毛のよう。
『これって武器なのか?』
『攻撃はできないから武器じゃない。
防具でもないから、たぶんアクセサリー?』
『こんなの見たことない』
『俺もだよ?
こんなのいるなんて、聞いたこともないよ』
鳥はまた、俺の肩に柔らかくとまって、頭を頬にすり付けてくる。
なんだかとても可愛い。
『この子、雌雄同体なんだよ?
鳳(ほう)ちゃん?』
オマエが優しく呼びかけると、ゆらりと揺れて、大きく長く形を変えた。
シャープだけど尾羽根が長く、飾り羽根も多くて華やか。
オスのようだ。
『凰(おう)ちゃん?』
今度は丸いフォルムに変化して、派手派手しい飾り羽根は少ないが、紅色が濃く鮮やかになった。
黒から白に変わったアイリングのおかげで、目元のキツさが和らいで愛らしい。
メスらしい。
『コオくんは男と女、どっちが好き?』
オマエと一緒に鳥もオレを見ているようで、
『そりゃ、両方あるんなら両方がいいよ』
って答えてた。
海の魔物退治は順調にクリア。
オレたちはかなり強くなってて、ドロップしたアイテムも、街の周辺で拾うものより、格段に良くなった。
今後の事を考えると、オレたちには、もっと火力の高い武器がいる。
防御力の高い防具も。
それにはやっぱり、お金が必要だ。
より報酬の高い仕事をして、より貴重なアイテムを拾って。
商人がいればアイテムを交換して。
途中、人助けをしながら、オレたちは、火の山を目指した。
『いつかさ。
いつかお金が貯まったら、どこか、海が見えるとこに落ち着いてさ。
穏やかに暮らしたいな』
オマエは戦いのあと、いつもそう言ってた。
その頃からオレたちは、一緒に冒険に出ることが増えていった。
オマエの鳳凰の護りのおかげで、オレたちのパーティのダメージはいつも最小だった。
オレたちはいつも、必ず全員生還したよな。
それでもオマエはいつも、山のように回復薬を抱えていった。
『魔術師やめたの?』
『いくらやってても攻撃力が上がらないから、思い切って変えちゃった。
俺、みんなをサポートする方が合ってるみたい』
いつの間にか魔物マスターになって、ムチを得物にして、出てくる魔物全員に、真っ先にダメージを与えてたオマエ。
確かに攻撃力は足りなかったけど、毒や眠りを与えてたよな。
『いつかコオくんが、きれいでかわいい女の人と恋に落ちて、結婚したら、俺、友人代表でスピーチするね。
そしてもし子供に恵まれたら、俺、その子をうんと可愛がるよ?』
遠い目をしながら、優しく笑うオマエにオレは、
『スピーチはいらないから、お祝いに歌ってくれよ』
って返してた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!