第4話

第4
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2021/05/23 23:15 更新






『この子、鳳凰って言うみたい。
俺の能力がまだ低いからちっちゃいけど、そのうち僕が強くなれば一緒に育って、大っきくゴージャスになるんじゃないかって、買取商店ももん屋のオジサンが』


ひらひらと楽しげに舞う、宝石のような赤い鳥。
既に初めて見た時の手の平の大きさではなく、腕ぐらいの大きさに育っていた。
黒いアイリングが、アイラインのようだし、とさかの色の濃い飾り羽根が、まるで長い髪の毛のよう。


『これって武器なのか?』


『攻撃はできないから武器じゃない。
防具でもないから、たぶんアクセサリー?』


『こんなの見たことない』


『俺もだよ?
こんなのいるなんて、聞いたこともないよ』


鳥はまた、俺の肩に柔らかくとまって、頭を頬にすり付けてくる。
なんだかとても可愛い。


『この子、雌雄同体なんだよ?
鳳(ほう)ちゃん?』


オマエが優しく呼びかけると、ゆらりと揺れて、大きく長く形を変えた。
シャープだけど尾羽根が長く、飾り羽根も多くて華やか。
オスのようだ。


『凰(おう)ちゃん?』


今度は丸いフォルムに変化して、派手派手しい飾り羽根は少ないが、紅色が濃く鮮やかになった。
黒から白に変わったアイリングのおかげで、目元のキツさが和らいで愛らしい。
メスらしい。


『コオくんは男と女、どっちが好き?』


オマエと一緒に鳥もオレを見ているようで、


『そりゃ、両方あるんなら両方がいいよ』


って答えてた。









海の魔物退治は順調にクリア。

オレたちはかなり強くなってて、ドロップしたアイテムも、街の周辺で拾うものより、格段に良くなった。

今後の事を考えると、オレたちには、もっと火力の高い武器がいる。
防御力の高い防具も。

それにはやっぱり、お金が必要だ。
より報酬の高い仕事をして、より貴重なアイテムを拾って。
商人がいればアイテムを交換して。


途中、人助けをしながら、オレたちは、火の山を目指した。






『いつかさ。
いつかお金が貯まったら、どこか、海が見えるとこに落ち着いてさ。
穏やかに暮らしたいな』


オマエは戦いのあと、いつもそう言ってた。

その頃からオレたちは、一緒に冒険に出ることが増えていった。
オマエの鳳凰の護りのおかげで、オレたちのパーティのダメージはいつも最小だった。
オレたちはいつも、必ず全員生還したよな。

それでもオマエはいつも、山のように回復薬を抱えていった。


『魔術師やめたの?』


『いくらやってても攻撃力が上がらないから、思い切って変えちゃった。
俺、みんなをサポートする方が合ってるみたい』


いつの間にか魔物マスターになって、ムチを得物にして、出てくる魔物全員に、真っ先にダメージを与えてたオマエ。
確かに攻撃力は足りなかったけど、毒や眠りを与えてたよな。


『いつかコオくんが、きれいでかわいい女の人と恋に落ちて、結婚したら、俺、友人代表でスピーチするね。
そしてもし子供に恵まれたら、俺、その子をうんと可愛がるよ?』


遠い目をしながら、優しく笑うオマエにオレは、


『スピーチはいらないから、お祝いに歌ってくれよ』


って返してた。






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