奇跡の洞窟を科学王国が制圧してダイナマイトでこの戦いをダイナマイトで終わらせた後、羽京達は司の妹である"未来"の石像を探しに向かった。というものも、科学王国の長である石神千空と、司帝国の長である獅子王司がある"取り引き"をする為、千空は司の妹の未来を復活液をかけ、復活させる為に未来の入院していた病院のあったところに向かっていた。そうして、地面をダイナマイトで破壊して埋まっている石像を取ろうということになり、ダイナマイトの爆裂音が鳴り響いた。
結果、未来の石像が見つかり他の石像達も全員で取り出し後程復活させようという話になった。
羽京は一通り石像を、石像を置いておくスペースに置き
息を吐いた。ふと、羽京の瞳には羽京の見覚えのある顔の石像が映っていた。
紛れもなく、羽京の瞳に映っていた石像の顔は羽京の最愛と言っても過言ではないくらい羽京の愛する妹……あなたの顔だった。そのあどけない幼い顔。羽京が自衛隊育成学校に通うまで、毎日毎晩と見ていた顔だった。
1秒たりとも羽京は忘れたことのない顔だった。
羽京は、「え」と声を漏らしてその場に立ち尽くした。
立ち尽くす羽京を見兼ねた杠が、羽京に話し掛ける。
それと同時に、石像を疲れた気配も見せずに運んだ大樹も羽京に話し掛けた。
大樹と杠が優しく羽京に聞くが、羽京は少し黙った。
酷く動揺していたからだ。自分の妹は、愛媛に両親と共に過ごしているのだと思っていた。そうだと、思っていた。だからこそ、の驚きだ。
羽京が言うことを決心し、杠と大樹に告げると杠と大樹は同じタイミングで口を開いた。そして
ふたり同時に同じことを言う。流石幼馴染だ。
羽京は少し困ったように愛想笑いを軽く浮かべてからすぐに自分の妹、あなたの石像の顔をその温い指で優しく撫でた。
「ほら、今ってまだ現代とは違うから……色々とね」
羽京は小さく呟いて、目を細めてあなたの頭を軽く撫でた。「謝らなくていいぞ!」と大樹が言うのを隣で杠が大きく頷いて千空を呼んだ。
すぐに千空は駆け付けたが、杠が千空に用があるという訳ではないことに気づき、立ち尽くす羽京に目線を逸らしすぐに目を合わせた。
音を立てながら首を動かす千空に羽京は少し困ったような笑みを浮かべた。
今からどう伝えようかと。伝える決心のつかない羽京に千空が不思議に思い、質疑する時特有の声のトーンで声を上げた。
黙り込む羽京に千空は顔をしかめ、どうしたんだ?と言わんばかりの表情で羽京を見つめて、羽京が触れている石像の顔を見て羽京に再び質疑をした。
ぴくり、と羽京のまつ毛が動いた。
そうして、羽京は少しだけ躊躇うような動作を見せてからこくりと頷いた。
と、言いかけた千空を羽京が遮った。
少し寂しげな笑みを浮かべながら羽京は言葉を続けさせた。
羽京はその透き通った優しい瞳で千空を見つめた。
千空は本人の決めたことなら、と否定せず了解の意で「あぁ」と呟いた。
そうして、幾つの時が流れた。
氷月の裏切り、司のコールドスリープ。宝島に行く為の船作り……そしてホワイマンの出現。
ホワイマンの出現は羽京達、五知将が石油とGPSのテストをする為少しだけ船に乗っていた時のことだった。
暫くして五知将達が拠点に戻り、ほんの少しの時を過ごしたその時、羽京の耳に微かに割れるような、崩れるような石の音が届いた。
音の出処は、羽京の妹であるあなたの石像を置いていたところだった。羽京は額につぅ……と汗を伝わせ、青ざめた顔で物凄く、早いスピードで走りあなたの石像のあるところに向かった。
不思議に思いそこに居た数人が騒いでいた頃、羽京を除く五知将達もその音に気づき羽京に走って向かって行った。
羽京が息を荒らげながら、あなたの石像のあるところの扉を勢いよく開けながら、あなたの名前を叫んだ。
眩い光と共に、石の割れる音が部屋中に響き渡っていた。
あぁ…………と辛うじて出た声を漏らしながら羽京はあなたの目の前に立った。
あなたには、杠が「服着せてあげたいから」と、服を作りあなたの石像に着せていた。その服は羽京の服にも似ていた。
音を立てながら崩れ落ちてゆく石の破片がもう何ひとつもあなたの皮膚に残っていなくて、あなたは目を覚ました。それと同時に、羽京は目を潤わせた。
まだふらつく体を羽京が抱き止めて、あなたは自然と羽京に抱きついていた。
あなたは嬉しそうににんまりと笑って、羽京の顔を見上げた。
ぼんやりとしている意識が覚醒し、羽京をぎゅうっと抱きしめてえへへ、と笑っていた。
羽京は数千年ぶりに会う、最愛の妹の笑顔……そして、自分のことを呼ぶ声。とても愛おしくて懐かしくて堪らなくて羽京は耐えきれず、大粒の涙を少しだけ流した。
自分を抱きしめる兄が何故か、泣いているのをあなたは不思議に思い、心配そうにしたがすぐに笑顔に戻り
元気よく、大きな声で少しはしゃぐような久しぶりの兄との再会にあなたは笑ってそう言った。
羽京は目をぱちくりとして、すぐに「ふふっ」と笑い声を出した。
柔らかい笑みを浮かべて羽京はあなたの頭を撫でた。
あなたは嬉しそうにきゃは、と笑った。
あなたがきょとんと不思議そうな表情で羽京を見上げて言葉を続ける。羽京はほんの少し苦い顔をして本当のことを言うのを躊躇っていた。
羽京が口を開いたその瞬間、一足遅れて向かって来た羽京を除いた五知将がその場に到着した。
あなたは目を大きく開いて、驚いた声を出した。
羽京が「大丈夫だよ」とあなたの頭を撫で、千空と目を合わせた。
羽京があなたの頭をぽんぽんと撫でるとそれと同時に千空がクククッと愉快そうに笑った。
そして、口を開いた。






![た と え 君 が ま た 消 え て も [Dr.stone]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/cf7c52a786e0103a466919ffa8ff9b8bd228b1b7/cover/01JJX9DWBW8YCGJ0DXFE2YAYB3_resized_240x340.jpg)




編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。