第12話

第十二話
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2024/05/07 03:00 更新



阿部亮平
うわぁぁ〜...!!
休みの日の夕方に近い時間、目黒は自身の航空機工場へ案内する。
扉を開けて見えるのは多種多様な航空機。

そして見たことがないほど目をキラキラと輝かせる阿部。

その中でも自分だけの航空機を見せる。
目黒蓮
この航空機は俺が作った、俺だけのものなんです。
阿部亮平
凄い...ホントに凄いっ!!
目黒蓮
それで...良ければなんですけど、
これからこれに乗ってみませんか?俺が操縦します。
阿部亮平
っ...。
その言葉を聞いた瞬間、戸惑いの表情に変わった。

阿部はあの事故以来、航空機には見るだけで乗ってこなかった。
怖かったから。

でも心のなかではずっと乗りたいと思っていた。
もう一度あの大空を飛びたかった。あの空への憧れを抱きながら。

だから今はそんな恐怖さえ感じず、逆に乗りたいという性分なのだ。
阿部亮平
乗りたい!
目黒蓮
え...!嬉しい!!
早速助手席へと阿部をエスコートする。
それから安全のためにヘルメットを被させる。

久しぶりの航空機だからか緊張する阿部。
そして操縦する上に阿部が隣に座っていることに緊張する目黒。
目の前に並ぶハンドルやボタン。
それらをそっと手で撫でる。

この席に座ると自分がまだ空軍大佐の時のことを思い出す。
阿部亮平
懐かしいなぁ〜...。
この感じ。
目黒蓮
本当ですか?
でも今日は助手席にいてくださいね?
目黒蓮
では出発しま〜す。



出発してからというもの、どこへ行くかなんて全く決めていなかったことに気づいた目黒。
なのでとりあえず地中海に出た。

この航空機は軍のものと違って、完全なるプライベートのもの。

だから他国が襲撃してきたと勘違いされることもない。
この時代、目黒のようにプライベートの航空機を持っている人は少なくない。
目黒蓮
阿部さん。
この航空機で阿部さんともっとどこかに行きたいなって思ってます。
目黒蓮
このフランスを飛び出して、アメリカとかアジアとか!
それで世界一周は楽しそうですよね。
阿部亮平
ふふふ、いいね。
俺も世界遺産見に行きたいんだ。
目黒蓮
そうなんですね。
阿部亮平
だから戦争が終わったら、どこでもいいから行きたいな。
目黒は阿部の願望が聞けて良かったと思った。

阿部は目黒よりもたくさんの知識が入っているから、教えてもらいながら一緒に世界遺産巡りは楽しそうだなと感じていた。
目黒蓮
あ、阿部さん。あそこ綺麗な景色が見えるって有名なところらしいですよ。
阿部亮平
じゃあ行ってみよっか。
降り立ったのはモンサンミッシェルという海の上に浮かぶようにして存在する巨大な修道院が綺麗に見える、少し離れたところ。
ライトが灯って神秘さが増す夕方から夜にかけての、今の時間の景色はとても美しい。
阿部亮平
わぁ〜...綺麗だね。
目黒蓮
本当ですね。
ここに阿部さんと来れて良かったです。
ただただその美しい景色を眺めるだけ。
それでも十分良かった。

阿部と一緒のものを見れるだけで。
阿部亮平
実はね、この景色...見たことあるの。亡くなった旧友とね。
目黒蓮
......。
阿部亮平
目黒と一緒のことを言ったの。
世界を飛び回って、色んな景色を見たいって。
「この4人で行こうな!絶対だからな!」って嬉しそうに言う姿が忘れられなかった。
阿部亮平
なのに...無理だった。
阿部亮平
だから目黒は...実現するのかなって、心配になっちゃうの。
これも阿部の本音だった。

志半ばで死んでいった仲間を見てきたから。
「絶対」とか言われるほど叶うと思って期待してしまう。
それで期待して落とされる側の気持ちも辛いから。
阿部亮平
絶対って言ってたのにな...。
目黒蓮
阿部さん。
俺は絶対とは言ってませんよ。
今まで静かに聞いていた目黒が言った。
目黒蓮
俺も「絶対」っていう言葉は嫌いです。
絶対は絶対にないんですから。
目黒蓮
今の世の中、これからのことなんて保証できない。
だから約束するのも嫌です。
目黒蓮
願うだけなら誰でもできますからね。
本当にその通りだ。

口にするだけならとても簡単なのに、いざ実現させようとすると難しい。
だから阿部は驚いた。
ここまで理解してくれる人がいるとは思わなかったから。
目黒蓮
でも阿部さんとなら絶対って言ってみても良いのかなって思います。
なんでも叶いそうな気がします。
阿部亮平
目黒はなんでそこまで言えるの?
目黒蓮
なんとなく、そんな感じがするだけです。
阿部亮平
そっか。
目黒が言うなら、そうなのかもね。
阿部は「バーでも行かない?」と誘った。
なんだか今はお酒の力を借りて、考えることをやめたかったから。

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