<新一side>
快斗の行動が読めない。
そもそもオレに媚薬を飲ませてどうする?
快斗が得することなんかなんもねーだろ。
なのに……
なのに、コイツは……!!
ち、近い……
そしてなんだこのイケボは……
耳元で囁くのはやめて欲しいところだ。
嫌だ。
嫌だけど。
どこか快斗を求めている自分が煩わしい。
求めてはいけない。
あんなことしょっちゅうするもんじゃねぇ……
オレの心中とは全く違う言葉が零れた。
要らない、そんなの必要ない……
しかし、今快斗にどんな言葉を放っても、きっと
無駄だ。
身体はきっと、心と正反対に快斗を求めてるんだろう。
どこか他人事のようにそんなことを
思い浮かべていると、快斗がいつの間にかオレを
軽々と持ち上げていた。
俗に言う、お姫様抱っこというヤツだ。
快斗はパッと両手を離した。
瞬間、息を呑む。
え、ちょ……
本当に落ち……
快斗はオレと同じ174cmで、お姫様抱っこされてるから
そこまで高くはねーけど、でもやっぱ落ちたら
痛てーよな?!
恋人をお姫様抱っこから床に落とすってなんだ?!?!
新手のいじめか……?!
事件で鍛えられた推理力で無駄なことが快斗が
手を離してから地面に落ちるまでの間に頭の中を
よぎっていく。
思わずぎゅっと目を瞑る。
地面に背中を強く打ち付けた感覚も、後頭部を硬い
床にぶつけた感覚もない。
おまけに快斗の余裕の喋り声。
まさか……
そう思って恐る恐る目を開けると、快斗はしっかり
オレのことを抱いたままだった。
見事に奇術に翻弄されていた。
同時に、今の行動にはあんまり抵抗すると
本当に落とすぞ、という意味合いもあるのだろう。
それだけは勘弁して欲しい。
直後、ベッドにオレを放り投げる快斗。
結局落とすんじゃねーか。
幸いベッドがふかふかだったため、背中を打ち付けたり
後頭部をぶつけたりなんてことは無かった。
先程の快斗に驚いたことから、少し安心していると、
なんだこれ。
なんでオレは敬語になってまで快斗とヤらなきゃ
いけねーんだよ?!
子どもをあやすような口調。
腹立つなぁコイツ……
急なディープキス。
心臓に悪いぞ ( )
ちょっと待ってくれまだ心の準備が……!!!
心の中でひとり戸惑うオレをよそに、快斗はキスを
続ける。
両の手のひらを優しく抑えられている。
舌を甘く絡められている。
押し倒されて身体を制されている。
その男女ともに興奮不可避であろう状況で、
さすがのオレも脳の奥がとろけるような感覚に陥る。
その後はごく自然に。
快斗に堕ちていった。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 𝕔𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕︎︎𓂃⟡.·













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。