<新一side>
数分前________
ゆっくりと余裕を持って歩いて行く快斗を、
しばらくの間オレは見つめていた。
幸せだ。
快斗と一緒に過ごすことができて、今までにない程
幸福を実感している。
こんな日常が毎日、続けば。
それ以上は何も望まない。
普通にご飯を食べて、一緒に寝て、
それからたまに一緒に出かけたりして。
ふと、目を閉じたその瞬間。
何者かに後ろから布で口元を覆われる。
これは……!!
……クロロホルム!!!
オレは意識を手放しかけた。
……が。
布に染み込ませる量が、きっと
足りていなかったのだろう。
なんとか意識を繋いだオレは、素早く後ろを振り向く。
全身黒色の服装。
これじゃあまるで……!!!!
いや、落ち着け。
黒の組織はちゃんと、撲滅して……っ
男は低く唸るように呟く。
あぁ、ダメだ。
腹部を刺されてしまった。
黒ずくめの男の喋ってることもわからねぇ。
そんなに傷は深くなさそうだけど……
もう、意識、……が…………………………
<快斗side>
きっと、新一はなにかの事件に巻き込まれた。
けどそんなに時間は経ってねーし、意識がない新一を
引きずって駐車場まで連れていくのは、周りの目も
あるし少し厳しいだろう。
ということは……
一番最初に目をつけたのは、使われていないであろう
薄暗いスタッフルーム。
見た感じ、外からなら窓で中が見えそうだが……
夜の帳も落ち始めてきたことだし……
怪盗キッドで行くっきゃねぇか!
まあ色々と済ませたところで、やっと窓から
中を覗くことができた。
息を潜めて部屋の中を覗く……
と。
そこには手首を縄で縛られ、抵抗できない新一を
黒ずくめの男が2人、囲んでいた。
新一になんてことしやがる……!!!!
感情的になってしまい、思わず場に
乗り込みそうになる。
なんとか自分を落ち着かせて、慎重に中を見続ける。
運がいいことに窓が少し開いていて、耳をすませば
会話が聞こえてきそうだ。
口にガムテープなどが貼られていないということは、
黒ずくめの男たちは、なにか新一と交渉することを
望んでいるということ。
その読みはピッタリ当たっていて、案の定新一が
やつらに問い詰めていた。
叫びそうになるのを慌てて堪える。
引き続き窓の下で、シルクハットを脱ぎ耳を当てて
会話を盗み聞きする。
残存メンバーってことはよ……
ヤバくねぇか??
奴らの組織となると、かなりでかかったはず……
さすがの新一も、自身の身体を小さくした組織に
少ししり込みしてしまっている様子である。
きっと、ただのそこら辺の犯罪組織とかなら
新一はすぐに冷静に対処することができただろう。
しかし、黒の組織の残存メンバーとなると……
この方法なら……!!
𝕋𝕠 𝕓𝕖 𝕔𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕︎︎𓂃⟡.·












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。