彰人side
そんな短い会話をしてオレは自分の部屋へ
階段を駆け上がる。
そのままの勢いでベッドに飛び込む。
……随分家の空気が暗くなった。
親父はアトリエに篭りっきり。
何が原因か、と言われたらもちろん絵名のことが原因だ。
オレはため息を吐きながら目を瞑った。
誰、だ……?
どこか懐かしい声だ。
……あぁ、絵名か。
幼い頃の絵名だ。
絵名はオレにできた絵を得意げに見せる。
オレは昔の呼び方で絵名のことを呼ぶ。
自分が描いた絵を指差しながらオレに言ってくる。
ニコッと屈託のない笑顔で笑う。
本当に嬉しそうで、
こっちまで嬉しくなる。
でもきっとこれは……
そう気づいてしまったから少し心がモヤモヤした。
そう言いながらオレの頭を撫でてくる。
その暖かさに泣きそうになった。
不意にそう言って手に持っていた絵をオレに差し出してきた。
絵名が得意げにニコッと笑う。
……そうだ、あの日もこんな感じで絵を渡してくれたんだ。
オレが犬に襲われて泣いている時に頭を撫でながら
親父に褒めてもらった絵をオレにくれた。
その絵がオレが今までずっと大事にしていた絵だ。
過去に縋って、絵名の未来が消えてしまった。
それに、最期に投げつけた言葉は一つも思っていない。
なんなら……
オレは絵名を撫でながら言う。
もう遅いけど、
もう届かないけど、
自分の夢の中でしか素直になれない自分に嫌気がさすけど、
それでも、言わずにはいられなかった。
?????
私はそう言いながら彰人を見る。
彼の頬にすーっと一筋の涙が流れた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。