前後から飛んでくる球を器用に避けながら、丸井くんは木手くんに
問いかける。
木手くんは明確な答えを出さず、丸井くんに向かって球を打つ。
それを丸井くんが華麗に避け、後ろにいた篤京先輩にボールが
飛んでいく。篤京先輩はそれを分かっていたようで、丸井くんが
避ける前に処刑法の構えをとっていた。今度は電気椅子で確実に
仕留めにいくようだ。
丸井くんが振り返った時には、もうボールは打たれていた。それが
丸井くんの鳩尾の辺りに命中し、ラケットを落として膝をつく。
...試合は始まったばかりだが、中学生が痛ぶられるのを見るのは
趣味じゃないので、どうか早く終わって欲しい。もしくは、転機が
訪れて中学生が一発逆転。圧倒的に後者の方が見応えはあるが、
今の状況では難しいだろう。
ついに一軍が逆転。序盤は理想的なダブルスペアだと思っていたが
木手くんが一軍側につくことによってその考えは変わった。彼の
モットーを否定する気は無い。強い方についた方が勝率が上がると
私も思う。だが、これはあまりにも...
この光景を、寿三郎が見ていなくてよかった。篤京先輩のプレー
スタイル自体は知っているが、この状況になっても試合が続行され
続けることを、彼は知らない。中学の頃、部活をサボりがちだった
とはいえ、顔見知りの後輩が目の前で痛ぶられている場面を見たら
きっと彼は悲しむ。寿三郎は、そういう人だから。あまりこういう
ことは思いたくないが、先程の試合で寿三郎が関節を外してくれて
良かったのかもしれない。今は手当てを受けて、医務室で安静に
しているので、後遺症は残らないだろう。
その後も当たり前に試合は続き、丸井くんはまた必死で避けながら
点がとれるタイミングを狙っている。だが、そう簡単にはいかず、
一軍側にポイントが入っていった。篤京先輩と木手くんがラリーで
丸井くんを追い詰めていると、ついに痺れを切らしたのか、丸井
くんが木手くんと向かい合って叫んだ。
木手くんは容赦なく、正面から丸井くんを狙う。だが、丸井くんも
向かい合ったことによってボールの軌道が見えやすくなった。これ
なら、体勢を崩さずに一軍コートに返せるかもしれない。
しかし、その考えは木手くんの打球によって一瞬で覆された。
木手くんが打った球の軌道が曲がり始め、まるで蛇のような弧を
描いた。木手くんと同じ比嘉中に所属する平古場くんの技だ。確か
技名は...飯匙倩。これは曲がり方にクセがあるので、正確には
大飯匙倩だ。丸井くんが予想外なことに驚いていると、観客席から
平古場くんが、木手くんが飯匙倩を使える理由を説明した。
丸井くんがこの言葉が何を意味するか気づいたその時、曲がって
いた打球が丸井くんの顔面を狙って下から迫ってきた。顔を上げて
咄嗟に避けられたが、丸井くんはその反動で後ろに飛ばされて
しまった。
審判のコールと同時に、立海ダブルスペアである桑原くん、丸井
くんと仲が良いと聞く芥川くん、先輩想いでよく丸井くんと一緒に
食堂でご飯を食べている桃城くんがコートに飛び出し、倒れた丸井
くんに駆け寄る。そんな彼らを差し置いて、木手くんは1人コート
チェンジのため歩き出した。観客席にいる中学生達は、丸井くんを
心配しながら木手くんに軽蔑の目を向けていた。
遅れましたすみません🙏💦
キミ様の決して純情では無い思考がとても好きです。褒めてます。
♡&☆ よろしければ🙇🏻♀️💦












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。