第2話

No.1
28
2025/09/13 15:08 更新



夜の街を、乾いた銃声が切り裂いた。



火花が散り、アスファルトに銃弾が弾ける。


ヒーロー
ジーニアス!これ以上逃げ場はないぞ!



街灯に照らされ、数人のプロヒーローが路地を封鎖していた。


その中心で立ち止まる一人の少年または少女。




腰に携えた黒光りする拳銃を、まるで身体の一部のように握りしめている。




目は鋭く細まり、周囲の景色を秒単位で分解し続けていた。



あなた
ふむ、逃げ場はない。
本当にそうかな?



冷たい声が響く。




彼かも彼女かも不明な其奴の脳裏では、すでに数秒先の未来が映し出されていた。




ヒーローたちの動き、呼吸の乱れ、風の流れ。





その全てを数式として処理し、最適な答えがはじき出される。



BANG!!



ジーニアスが引き金を引くと、普通の弾丸に見えた銃弾が途中で軌道を変え、路地の壁を跳ね、背後から迫っていたヒーローの足元を撃ち抜いた。



ヒーロー
…ッ!?跳弾だと…!?



崩れ落ちるヒーローを冷ややかに見下ろす。




だがジーニアスは決して笑わない。勝ち誇ることもない。




ただ淡々と、最短の手段を選び続けるだけ。



あなた
お前らの動きは単純だ。

あなた
俺の視界には“未来”が映っている。
…勝てるはずがない



ヒーローの一人が無謀にも突っ込んだ。




次の瞬間、ジーニアスの足元に即席の防御シールドが生成され、拳を受け止める。




反動で崩れたヒーローの顎へ、銃口が冷たく突きつけられる。



あなた
お前らはヒーローか?それとも……ただの駒か?



その目には冷徹な光しか宿っていなかった。




理解されぬ知能。拒絶され続けた孤独。




其奴にとって、人間はもう“方程式の変数”でしかない。


やがて遠くからサイレンの音が迫る。




増援が来る前にジーニアスは一歩退き、銃をホルスターに収めた。



あなた
つまらない…



闇夜に身を溶かすように消えていくヴィランの背を、ヒーローたちはただ呆然と見送るしかなかった。






























ビルの屋上。




夜風が吹き抜け、ネオンの光が遠くに瞬いている。




ジーニアスは腰の拳銃を外し、冷えた金属をじっと見つめていた。



あなた
話にならない…



先ほどまで追いすがってきたヒーローたちの姿を思い出し、吐き捨てる。 




数秒先すら読めず、力任せに突っ込むだけの存在。




それを“正義”と称して人々が喝采を送る。



あなた
なぜ、あんな猿共に憧れる?



低い声が闇に溶ける。




筋肉を誇示し、仲間と笑い合い、力で全てを解決する。




知能を用いず、思考を放棄し、それでも人々から英雄視される。



あなた
愚かだ……ヒトとは本当に愚かだ



其奴の瞳には、誰も到達できぬ孤独の輝きが宿っていた。




脳は止まらない。常に数式が流れ込み、未来が演算され続ける。



あなた
結局、この頭脳世界を理解できるのは……俺だけだ



銃をホルスターに収め、ジーニアスは夜の闇に消えていった。




その背中には、誇りと孤独、そして確かな狂気が滲んでいた。



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