第4話

3.デートの誘い?
184
2023/06/26 12:00
下を向くカイくんの手を引き
いつもと変わらない帰路を歩く
色々しちゃったし…なんかしてあげたいよね…
そんな考えを現実にしようと
カイくんに話を振る
佐藤
カイくん
カイ
…なんだよ
まだほんのりと赤い顔を上げて
僕に視線を向ける
佐藤
明日用事ある?
カイ
無いけど…
佐藤
じゃあ、明日のお祭り一緒にまわろ!
カイ
祭り…?
明日のお祭りに僕の奢りで行くことにする
佐藤
うん!明日あるんだ!
佐藤
僕、カイくんとまわりたい!
僕がそう言うと
少し驚いた顔をして 一瞬黙り込む
カイ
…お前がどうしてもって言うなら
佐藤
じゃあ、決まりだね!
佐藤
待ち合わせ、夕方の7時に奏桜そうおう神社でいい?
カイ
…いい
それ以降言葉は無く
気まずさのない沈黙が流れる
分かれ道が見えてくると
カイくんの歩くスピードが分かりやすいほど遅くなる
佐藤
どうしたの?
カイ
…別に、何もないけど
そう言うカイくんの手は
僕の手を少し強めに握る
分かれ道に到着し
カイくんの手を離す
離した手には
カイくんの温もりが微かに残る
カイ
じゃあ…明日…
表情は変わらないのに
声色だけは、どこか名残惜しそうで
佐藤
…ずるいよ
カイ
…?なんか言ったか?
佐藤
何も言ってないよ
少し歩いて
振り返る
佐藤
また明日
カイ
ん…明日…
カイくんに手を振ると
少し控えめに手を振りかえしてくれる
手を下ろしたカイくんは
僕の家と反対の道を進む
カイくんが見えなくなったのを確認してから
僕も再度歩き出した
明日のお祭り、楽しみだなぁ…

プリ小説オーディオドラマ