祐希さんの確認ミス…??!なんて重大なミスを犯してくれてるんだ祐希さん…
半泣きになりながら泊まった行き先は11階。高橋さんが先に降りて向かったのは一番端の部屋、ルームキーをかざし開いた部屋の先は男の子の部屋にしては綺麗に整頓された部屋だった。
恐る恐る室内に足を踏み入れる。ふわふわな絨毯の奥、開けたリビングは大きな窓がついており、現実離れした風景に思わず興奮してしまった。
さっきまでの沈んだ気持ちは何だったのやら、あまりに綺麗な室内に、思わずバルコニーに出る。一応人様の部屋ではあるけど…この期間、私の部屋でもあるんだから自由に使わせてよね
帰ってきてそのままバルコニーに飛び出したものだからリュックも背負ったまま。いそいそと室内へ戻れば高橋さんの荷物の隣にリュックを下ろした。
私が藍、と名前で呼ぶと満足そうに笑う藍。思ったより可愛いとこあるな、なんてこっちまで嬉しくなってしまった。
初めて藍から謝罪され、頭を撫でられる。ここのみんな、私の頭撫でるの好きだなぁ…まあ、悪い気がしないからいいけど、と私は大人しく撫でられていた。
子犬のようにきゅるきゅるとした瞳で見つめられてしまえば、返事はyesしかない。未だ慣れないタメ口で話せば藍は更に嬉しそうに笑った。
突然私の目の前で服を脱ぎ出す藍。いつもみんな体育館では脱いでるのは知ってたけどこんな間近で見ることはなくて思わず変な声が出てしまう。
あまりにも上半身が筋肉質で、ドキドキしてしまったのは内緒。私に構うことなく着替えれば部屋着姿の藍が台所へと立った
藍に言われた通り脱衣所に駆け込んで持ってきた部屋着に着替える。ホテル内は予想通り暖房が効いてて暖かいから短パンで正解だな、と無地の白Tシャツに黒の短パンにした。
着替え終わって練習着を洗濯籠に突っ込めば藍のいるキッチンへと向かった
そう言った藍は私の格好を見て頬を赤らめる。ましてやコイツ、なんかよろしく無いこと想像してない?笑
揶揄うように頬をツン、とつつくと藍ははぁ、と小さく溜息をついた。
してやったりと私は浮かれていると突然、料理箸を置いた藍が私の腕を取りグイッと引き寄せる
突然藍の顔が近付き、その距離僅か数センチ。あまりにも綺麗なその顔が目の前まで迫って息が詰まった。
ピン、と額を弾かれ痛い!と額を抑える。
不意にもその真剣な眼差しにドキドキしてしまった、この胸の高鳴りどうしてくれるつもりなの…?
藍は私の腕を離せば再び料理箸を握る。
はぁ…と今度は私が深めの溜息をついて、軽く手を洗う。ちら、とキッチンを眺めるとまな板の上に切られる前のベーコンがあるのに気づき藍に声をかけた。
私の大好きなカルボナーラにウキウキしながら、藍と2人並んで料理をした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。