第20話

動き出した歯車
105
2026/01/12 06:07 更新
東 舜
ごちそうさま
 
 オムライスを食べ終わった舜さんが、そう言ってくれた。
 僕は笑顔で、「お粗末様でした」と返す。
東 舜
うまかった……
あなた
ふふ、ありがとうございます
 そんなふうに言ってもらえるなんて、僕も作りがいがある。
あなた
食器下げますね
東 舜
俺が洗う
あなた
え、いいですよ……!
東 舜
このぐらいさせてくれ
 そう言って、食器を片づけ、洗い物をしてくれる舜さん。
 この前も洗い物をしてくれたし、舜さんってやっぱり優しいな。
 人と関わるのが苦手なのに、僕と仲良くしてくれているし……いい人だなぁ。
 舜さんが洗ってくれた食器を拭いて、持って帰るためトレーに乗せる。
あなた
舜さんはいつも何してるんですか?
 黙々とお皿を拭くのも暇なので、会話をしようと質問を投げかける。
東 舜
家でか?……生徒会の課題を片付けている
 考えた末、そう答えた舜さん。
あなた
生徒会の活動とかも、大変ですよね……?
 副生徒会長なら、とても大変だよね……。
東 舜
ああ…蓮に押し付けられてるからな
あなた
た、大変ですね
 舜さんの返事に、思わず苦笑いがこぼれた。
 舜さん、大変そうだっ……あはは……。
 そう思った時、ふと気になった。
 そういえば……。
あなた
舜さんは暴走族には入ってないんですか?
 舜さんを袋叩きにするという計画を聞いた時から、気になっていた。
 他の不良たちから狙われるくらい、強いなら……どこかのグループに所属しているんじゃないかなって。
東 舜
……ん?
 舜さんはなぜか、質問をした僕を見て驚いたように目を見開いた。
あなた
この学校の人は、ほとんどが入ってるって聞いたんですけど……って、生徒会の人は蓮以外入ってないですよね
 生徒会って、クリーンなイメージがあるし……いくらこの学園が暴走族学園と言われていても、生徒会の人は無縁かな。
 蓮はきっと例外だ。だって理事長の息子だもんね。
東 舜
……知らないのか?
あなた
え?
 知らないのかって……何を?
東 舜
nobleノーブルは、生徒会の……
 __ピロンッ。
 何か言いかけた舜さんの声を遮るように、新着メッセージを知らせる音が響いた。
 慌ててスマホを見ると、画面に写し出された【今から電話してもいい?】というメッセージ。送り主は、ハレからだった。
あなた
あっ、すみません、電話がかかってきたので、帰ります……!
 僕はトレーに食器を乗せて、そう言った。
東 舜
……ああ
あなた
それじゃあ、また明日
 手を振って、舜さんの家を出る。
 僕がいなくなった部屋で……。
東 舜
あいつ、生徒会の役員が"noble"だってこと、知らないのか……?
 __舜さんがそんなことを呟いていたなんて、知る由もなかった。
 部屋に戻って、すぐにハレに電話をかける。
あなた
もしもしハレ?
蒼天 晴
《もしもし。ナナ、今、家?》
あなた
うん、そうだよ
蒼天 晴
《時間があったら話したいなって思ったんだけど……ダメ?》
あなた
ダメなわけないよ。話そう
 僕はそう返事をして、ハレと長電話をはじめた。
 やっぱり、ハレと話していると落ち着くなぁ……。
 好きだなぁ……と、改めて思う。
蒼天 晴
《あ、ごめん……もうこんな時間だね》
あなた
ほんとだ……!
蒼天 晴
《ずっと話してごめんね。……また明日も電話してもいい?》
あなた
うん!いいよ!
蒼天 晴
《やった。じゃあまたね。大好きだよ、ナナ》
 ハレはいつものようにそう言って、電話を切った。
 僕もだよ、ハレ……。だから、早く会いたいなぁ……。
 僕は心の中で呟いて、はぁ……と大きなため息をついた。
 さ……今日はもうお風呂に入って寝ようかな。
 そう思い、浴室へ向かう。
 ハレと会えるのは、まだ先になりそうだ。
 スマホをぎゅっと握りながら……この時までは、そう思っていた。
 ハレとの再会が……もうすぐ目の前まで迫っていることも知らずに__。
主
すごくすごーーーく遅いんですけど
主
皆様、明けましておめでとうございます!
主
今年もこの小説をよろしくお願いします

プリ小説オーディオドラマ