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第1話

あの冬から
43
2024/06/22 12:03 更新
雪が降って、どこか浮ついた空気が漂っていた。
窓側の席だった私は、授業中も窓に釘付けだった。

休み時間は皆んな友達グループで集まって、放課後雪遊びの予定を立てている。
私はひとりぼっちだから、机から本を出して、気を紛らわせる。




次の瞬間、ざわざわしていた教室に一本の明るい声が通った。
天之季沙
ちなちゃーんっ!!!!
急に呼ばれた私の名前にびっくりして、思わずガタンっと立ち上がった。
声の飛んできた方向の廊下を見た。

ニコニコしながら、手招きをされて、慌てて廊下に出た。
深瀬千菜
何??
天之季沙
会いたくなったの、ただそれだけ
にっこり笑った顔。目が赤く腫れているのを見て、不意に手が伸びた。
深瀬千菜
目…泣いたの?
天之季沙
へ…?いや、別にっ…何、も…
驚いて目を見開いて、あたふたしていたが、すぐに下を俯いてしまった。
深瀬千菜
どうし_(ぽすっ
私の胸に体重をかけて、ぎゅっとしがみついた。
小刻みに肩が震えていて、嗚咽が聞こえた。
天之季沙
…やなことあったの
ぽろっと出た本音に、思わず驚いた。
天之季沙
ちなぁぁ…っ
深瀬千菜
…うん
いつもみたく追い払う気が失せた。
寄り添ってあげなきゃ、と体が動かなかった。
ずっと私の胸の中で泣き続けている様子を見て、かける言葉が見つからなかった。
深瀬千菜
泣きたいなら泣きなよ
天之季沙
うぅ…っ…
深瀬千菜
泣ける時に泣いた方がいい
数秒の沈黙があった後に
天之季沙
…っ、うっ…ありがとうっ…ちなっ…
天之季沙
大好きぃ…
言われ慣れていない言葉にどんな反応をしていいか分からなくなったが、すぐに離れていった。
天之季沙
ちょっとだけ楽になった!!もう授業始まるから行くね、ありがとう〜!!
まだ赤い目元のまま、いつもの笑顔で走り去っていった。


翌日
天之季沙
ちなー!!!
深瀬千菜

深瀬千菜
何?
天之季沙
えへへ…会いたくなっちゃった〜
また泣くのかと思って、心配になって
深瀬千菜
え、また何かあったの?嫌なこと
きさはポカン…とした後に、ブッと吹き出した。
天之季沙
あははっ!!違うよ!違う、今日は本当に会いたくなったの!
くすくす笑いながら、お腹を抑えているきさを見て、今日はポニーテールをしていることに気づいた。
深瀬千菜
今日髪型なんか違う
天之季沙
え?あー、ポニーテール!どぅ?かわい??
ふふんっと、誇らしげにクルクル回ってアピールしてくる。
深瀬千菜
まぁ
天之季沙
まぁ!?可愛いねって言ってよ!!
深瀬千菜
ええ、面倒…
天之季沙
なーんでー!!
これ以来、きさは毎休み時間に会いにきてくれるようになった。



家が近いことも発覚し、時々私と帰ってくれるようにもなった。
天之季沙
見てー!氷!氷!!ひゃーっ、つめた〜!!
深瀬千菜
そりゃ氷だもん、冷たいでしょ
天之季沙
いや触ったら改めて実感するというか…、ていっ!
深瀬千菜
うわっつめた!!!ちょ、やめてよ





そして今に至るわけだ

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