僕の手にある小さなお菓子は、はちみつ味ののど飴。
女の子は、それを握るかのように手に取った。
女の子は、何も言わぬまま俯く。
僕らのいる、スラム街。
今にも崩れそうなビルの間に、女の子はいた。
日の当たらない、こんな所にいる。
ビクトリアは、北欧に位置する国だ。
春になって雪は溶け、
夏になったら太陽は沈まず、
秋になればオーロラが見え、
冬になると厳しい寒さに見舞われる。
僕は、胸を突き刺されたような感覚がした。
あぁ、そうだ。
氷点下が当たり前のこの国で、服もまともに買えない
そんな環境で、人間は生きられないのだ。
僕は、自分の胸に手を当てて彼女を見る。
彼女は、まだ疑いの目を向ける。
ルンタは、不思議そうに首を傾げた。
こんな国じゃ、純粋に生きることは難しいどころか、不可能に近い。
でも、君の母親はそれでも「純粋」に生きてほしかったのだと、僕は思う。
じゃなきゃ…
「純粋」なんて言葉を名付けやしない。
僕は、手を差し伸べる。
ルンタは、キョトンとした顔で僕の手を見つめる。
ルンタは眉を顰めて、一言吐き捨て、
立ち上がって、僕の横にくっついた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。