みんなが泣いている
なんで泣いてるの…?
その思いを伝えたくても、
口からは何も出てこなかった
大丈夫?
そう言いたいのに、
何も言えない、
わ、たし…?
どういうこと、私はここにいるよ?
皆には、私が見えてない?
私、なんかしたっけ
あいつ?
って誰?
舘様顔怖いよ?
阿部ちゃん?
ブラックあべべ出ちゃってるよ?
「刺される」
その一言が聞こえたとたん
頭の中にたくさんの記憶が流れ込んできた
あの時のこと
私は、刺されたんだ…
私、死んでる?
違う、生きてるよ!
目の前にいたはずの9人がいなくなった
視界が閉ざされて何も見えない
声だけが聞こえる
さっくんの悲しそうな声
私を呼んでいる
side佐久間
あなたの下の名前の指先がピクッと動いた
大きな声で彼女の名前を叫ぶ
ゆっくりと目を開ける彼女はここに来る前と変わらず
美しかった












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!