あれは、文化祭の準備の日。
その日はまぁまぁ暑い日だった。
涼しい風が吹いていたけど、中で作業をしていたのもあって少し暑かった。
そう言って、作業中の私に近づいてくる幼なじみの
樋山和人。
ムードメーカーで運動神経抜群で女子からモテている。
また、ノリも良いため男子からも好かれるような性格。
そういう訳もあって、
「えぇ〜、何で七宮さんなの〜」
「女の趣味ズレてるよね〜」
「七宮さん、大人しくて何考えてるか分からない」
などのこそこそ言っている悪口が聞こえてくる。
女子の視線は痛いし、怖いけれどもどうすることも出来ないから、
何事も無いかのように接する。
その話を聞いていたのか、クラスの男子が
「樋山、どんまい〜」
と、言う。
ばい菌が入っていっちゃうかもしれないから。
まぁ、男子バレー部のマネージャーということもあって、
こういう手当には慣れている。
少し嫌そうな顔をする。
和人は強がりだから。
ちょっと、そっぽを向いて言う。
そして、ジャージをめくって私に傷を見せる。
左腕を少し擦りむいていて、血が出ている。
和人の表情を確認しながら言う。
少し、ビビってる?
弱い和人を見るのは久しぶりだから少し笑ってしまう。
優しくそっと、消毒すると痛そうな声を出す。
消毒が終わって、絆創膏をポーチから取り出してはる。
そう言うと、和人は、私の頭を撫でる。
和人からのあたたかさを感じる。
まるで、頑張ったご褒美をしてくれたみたいで嬉しい。
そして、何故か安心する。長く一緒に居るからかなぁ?
「七宮さん、外でポスターの方手伝ってきて貰える?ニコッ」
和人のことが好きなクラスの女子が私に言った。
きっと、私たちの様子が気にくわなかったんだと思う。
「もう1人の男子が、男バレの子だし」
そして、急だとちょっと怪しまれるから、
納得出来るような理由を付け加える。
手を振りながら言われ、私も手を振り返しながら言う。
すると、女子の皆さんからギロッと睨まれる。
『調子のってんじゃねーよ?』的な視線。
私はそれから逃げたくて、小走りで行く。
でも、仕方ないかぁ。
私、本当にドジだし。
冬道なんて大変だ。
道路とかツルツルだから、何度転んで和人に笑われたことか。
私はそんな事を思い出しながら向かう。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。