昼食を食べ終えてから教室に戻ると、芦戸ちゃんが話しかけてきた。
突然横から聞こえた大声に、思わず肩をびくつかせる。
びっくりした、葉隠ちゃんか。
どうして、って言われてもねぇ...。
耳郎ちゃんの言葉に、横にいたお茶子ちゃんが頷く。
そう言いかけて、少し考えてみる。
私は爆豪くんになにをしてほしいんだろう。
スキンシップとか、ほんとはもっとしたいって思う時あるけど、どこか遠慮がちになってる気がする。
付き合ってるのに、なにもしないのは嫌だ。
私の言葉を聞いて、芦戸ちゃんを含めたみんなが笑う。
***
放課後。
自分の席で荷物を整理して帰宅しようとするところを狙い、声をかける。
爆豪くんのこのセリフはOKの時のセリフだ。
よし、まずは第一段階クリアだ。
芦戸ちゃん曰く、まずは二人きりの空間をつくるとのこと。
私から部屋行ってもいいかだなんてあんまり言わないんだけど、別に変じゃないよね?
爆豪くんはそう言って、私の方を向く。
一緒に帰ろうとか、そんなことは言わないけど。
爆豪くんはいつも、当たり前のように私が来るのを待ってくれている。
...名前、呼んでくれるかな。
いろんなことを考えながら、私は爆豪くんの隣を歩いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。