第3話

「推理」
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2025/10/22 10:00 更新
血の匂いが、教室に満ちていた。
双子の片割れは動かない。
もう一方は嗚咽を漏らしながら、冷たい手を握りしめている。

探偵は倒れた身体を冷静に観察し、薬師は失われた薬瓶を握りしめて震えていた。
死神は壁にもたれたまま動かない。
ピエロは……相変わらず、にやにやと、ぼくを見ている。
探偵
探偵
「毒だな」
探偵が言った。
探偵
探偵
「口元に泡がある。薬師の薬を混ぜれば、これくらいの症状になる」
薬師
「みんなが休憩してるとき、私はずっと席にいたの。嘘じゃない」
ピエロ
「本当かい?」
ピエロ
「席にいたって、盗まれない保証にはならないでしょ。ねえ、プレイヤー?」
ぼくに視線が集まる。
息が詰まるような感覚だった。
いつのまにか、この教室の空気は「他人を疑う」色に染まっていた。

黒板にはまた文字が浮かぶ。

「推理しろ」



ぼくは深く息を吸い、吐いた。
胸の奥がざわめく。
この状況……逃げられない。
ならば、考えるしかない。

盗まれた薬。
短い休憩時間。
倒れたのは双子の片割れ。
そして、毒を混ぜるには――飲み物か、食べ物が必要。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「……あのとき、双子は……」
ぼくは視線を巡らせた。
思い出す。休憩時間、双子が持っていたペットボトル。
その蓋が、他の誰かの机の上に置かれていたこと。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「もしかして――」
声に出した瞬間、全員の視線が突き刺さる。
ぼくはゆっくりと指を伸ばした。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「ピエロ……君の机の上に、双子のボトルの蓋があった」
教室の空気が、爆発するように揺れた。
ピエロの口元の笑みは変わらない。
だが、その瞳だけが、ほんの少しだけ揺れた気がした。
ピエロ
「へえ……気づいてたんだ」
ピエロ
「でも、証拠になるのかな? プレイヤー」

探偵が割って入る。
探偵
探偵
「……確かに、その可能性はある。ピエロが毒を混ぜた――そう考えるのが自然だ」

薬師が震える声で呟く。
薬師
「私の薬……触ったの、あんた……?」
ピエロは何も答えない。
ただ、仮面の下で笑っている。

ぼくは拳を握りしめた。
これは、単なる“ゲーム”なんかじゃない。
疑えば、信じられなくなる。
でも――信じなければ、生き残れない。

黒板の文字が最後に一行、ゆっくりと浮かび上がる。

「投票まで、残り一時間」



カチリ。
教室の壁に埋め込まれた古い時計が、無機質な音を立てて動き出した。

こうして、ぼくたちの“最初の推理ゲーム”が幕を開けた。
──信じるか、疑うか。
そして、誰かが次に“死ぬ”までの、残酷なカウントダウンが始まる。

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