わ🤚「ホテペト」
ネタバレ ・ 捏造 有り
今日は雨が降っていて、
街行く人々は皆、
色とりどりの傘を差して歩いていた。
信号を待ちながらぼーっと向かい側を見ていると、
不意に目に入ったのは、紫色の傘。
俺があの時に…ホテルを出る時に
手に取った傘と同じ色。
久しぶりに、俺は当時のことを思い返した。
____あの日、たしか雨が降っていた。
けど、しにたかった俺は雨に濡れるなんて
どうでも良くて、傘も差さずにホテルを訪ねた。
ホテルのロビーのソファに腰掛けると、
突然 ゛あの子 ゛のことが頭をよぎって、
気付けば俺は涙を流していた。
いい子だった。
明るくて、優しくて。
なのに。
俺が…
俺が殺してしまった。
酸素過多。
薬の調合ミスなんて、
俺はなんて馬鹿なんだ。
俺が調合ミスをしなければ、
あの薬を渡さなければ、
あの子の担当が俺じゃなければ。
俺が薬剤師なんてやってなければ。
俺が存在しなければ。
あの子はもっと生きられた筈なのに。
「 無責任だ 」
そう思われるかもしれない。
だけど、あんな罪を犯しておいて、
俺がしにたいと思うのは仕方がないことだ。
だからこのホテルに来てしまったのも、
仕方がなかったんだ。そうに決まってる。
髪から滴る雨水と、涙で
ぐちゃぐちゃだった。
いつの間にか、俺の目の前では
ベルマンが心配そうに立っていた。
チェックインも済ませずに
泣いてる俺を見て、
駆けつけてくれたのだろう。
俺はなんて最低な人間なんだ。
ただの優しさの筈なのに、
ベルマンさんを鬱陶しいと思ってしまうなんて。
俺の啜り泣く声だけが
聞こえる少しの沈黙の末、
ベルマンさんは俺の目を見て
訴えかけるように言った。
ベルマンさんの透き通るように美しい、その瞳は。
しっかりと俺を写していた。
俺の言葉にベルマンさんは
悲しそうに目を伏せた。
その姿に胸が痛む。
ごめんなさい
また傷ついたような表情を一瞬し、
俺を案内してくれる。
これでやっと楽になれる
チェックインを済ませ、
俺はコートも脱がずにベッドに座り、
徐ろに鞄から1錠の薬を取り出した。
謝っても許されないことだと
分かっていても、謝るのとをやめられなかった。
人の、尊い命を奪っておいて
何が「ごめんなさい」だ。
虫が良すぎるだろ
俺は薬を飲み込んだ。
眠くなる感覚と共に、
俺は安堵を覚える。
最期に出た言葉はやっぱり
゛無意味 ゛なその言葉で。
最後に見たものは
綺麗に咲くトーチフラワーだった。
結局死に損ねた俺は
今日も今を生きている。
雨降る街で俺は間違いなく変われた。
大切な仲間とも出会えて、
生きる希望も見つかって、
ベルマンさんのあの言葉の通り、
俺はもう一度人生を歩み直している。
今なら分かる。
彼の抱えていたものの重みを。
彼の辛さを、苦しみを。
あの時の彼の表情の意味を。
辛いことも悲しいことも
やっぱりまだあるけど。
それでも今はしにたいとは思わない。
俺は、命を奪ってしまったあの子の
分までしっかり生きないといけないから。
あの子の分まで誰かの
役に立たなきゃいけないから。
俺はまた今日も薬を作る。
沢山の人を救う薬を。
今日もまた、
彼の言葉を胸に、
俺は生きている。
ホテペトをちゃんと見たのが結構前なので、
ストーリーと合わなくね??とか、
解釈違いが結構あると思うんですけど
目を瞑って頂けると有り難いです…











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。