今日も今日とて本鈴前の教室はガヤガヤと騒がしく、普段と変わらない日常が流れている。
傍から見れば青春とも言えるような日常をよそに、自分は席で荷物の整理をしていた。
グループで群がるのは苦手だったし、何より一緒に仲の良い人なんて居なかったのだ。
あの頃の自分は、穢れた心を隠すのに精一杯だった。
最も、内に秘めていた真っ黒い感情は、決して他人の理解に及ばないのだろうけど。
注目もされなければ、非難も軽蔑もされない…
そんな、可もなく不可もない日々。
裏を返せば、”人生”なんて洒落た名前のついた”無期懲役”を理由も無く服役する毎日。
でも、別に俺はそれでも良かった。
今は生きている理由が解らなくても、何かに真剣に向き合っているうちに見つけられると信じていたから。
だから、部活動のような任意の活動も、そうやって理由をつけては精力的に参加した。
____それが要因で事件が起きることも知らずに。
嫌な予感がした。
向けられたその眼差しに殺意が湧く。
大人は身勝手だ。
何でもかんでも理想を押し付けて、思う通りにならなかったら『失望した』と一言。
あの校長だって、きっと「雄英進学者を輩出」なんて肩書きにしか目が無かったんだろう。
それは、学年中にうじゃうじゃいたヒーロー志望の奴らも大概だった。
ドォォンッ゛!!!!
蹴り飛ばされた自分の机から教科書が落ちる。
ガシィィッ!
外面だけ取り繕おうとする大人、
とことん身勝手で無責任な大人、
憧れに囚われる憐れな同級生。
プッツリ切れていた心の糸は、捻れに捻れて違う想いへと変化していく。
___今思えば、〝嫌い〟が『大嫌い』に変わったのはこの瞬間だったのかも知れない。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!